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平和な日常~冬~

同じ頃超鈴音は工学部の研究室にいた。

日本でも有数の頭脳の持ち主が集まる麻帆良学園の大学部においても彼女は特別である。

学園側は今年の春に二年に進級した際には、彼女に飛び級での大学入りを勧めたほどであった。

複数の大学部の教授が彼女の頭脳を高く評価しており学園側に飛び級での大学入りを推薦したからであるが、超は年相応の学生生活がしたいからと断った過去がある。

そんな超だが現状でも工学部を中心に複数の分野で研究に参加していた。

中には彼女が実質的に主導してる研究もあるが、全ては忌まわしき未来を変えるためであった。


(芦コーポレーション社長、芦優太郎カ。 また歴史にない人が現れたネ。 しかも彼と繋がってるとは……)

この日超は横島の数倍は忙しい仕事や研究の合間を縫って、自身の知る歴史と現実の誤差を纏め更に今後の予測を立てていたがまた頭の痛い存在が頭角を現し始めたとため息をつく。

現時点で超にとって最大の誤差はネギが麻帆良に来なかったことだが、次点は当然ながら横島の存在である。

現状では相変わらず強いのか弱いのかはっきりしないが、そもそも超が横島に感じている脅威は武力ではない。

仮に横島に高畑やエヴァクラスの力があっても、武力で物事を解決するような人間ならば彼女はこれほど悩みはしないだろう。


(彼の知人がよりにもよってインターネット事業をしてるとは……。 というか芦コーポレーションのセキュリティは民間とは思えないレベルネ)

ただでさえ厄介な横島の知人がインターネット事業で会社を急成長させて、麻帆良学園の支援企業に異例の短期間で加わった件は超にとっては明らかにマイナスだった。

加えてこれはまだ水面下での交渉途中なのだが麻帆良学園では以前から雪広・那波と共同でIT分野での各種研究を進めており、芦コーポレーションがそれに加わる交渉が現在かなり進んでいる。

体育祭の際に技術とノウハウを無償提供した影響がここに出ており、学園側も芦コーポレーションの高い技術に期待していた。

まあ超には約一世紀のアドバンテージがあるので多少麻帆良学園が強化されても技術的な優位は揺るがないが、歴史にない技術を持つ企業が横島に繋がってるとなるとどうしても気になる。

一つ一つ見れば対処が難しいほどではないが、まるで見えない相手に追い詰められてるような妙な圧迫感を僅かだが感じていた。


(それにあの二人の成長が早過ぎるのも気になるネ)

そして横島絡みで超がもう一つ最近気になっているのは、あやかと夕映の成長が予想よりも遥かに早いことだ。

横島の周囲で木乃香達の成長が早いのは超が一番感じているが、中でも地味に超の計画の脅威になりそうな気配があるのがあやかと夕映である。

特に夕映などは歴史通りにネギのような魔法使いでも目指してくれると再来年の計画も将来的にも脅威になりえないが、そもそも夕映の才能は魔法よりも頭の回転の早さや状況判断力にあったと超は思う。

夕映の判断力にあやかの行動力が加わると、二人は十分脅威になる気がした。

これに不確定要素の固まりのような横島が加わると見過ごせる存在ではなくなる。


(彼がネギ・スプリングフィールドのような人なら楽だったのに)

一つ一つは明確な脅威ではないが合わさると脅威になりそうなのは、まるで麻帆良祭や納涼祭を思い出すようだった。

超は歴史の資料や人づてに聞いた未来の世界のネギの話を思い出し、横島がネギのようにシンプルに戦うような人間ならばどれだけ楽かと考えると何度目かわからないため息をつく。

そしてネギではなく横島の影響を受けた少女達が、自身の歴史とはまるで違う未来に歩み出してることに複雑な心境を感じずにはいられなかった。


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