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平和な日常~冬~

一方この頃異空間アジトでは、建造していた空中艦が続々と完成しつつあった。

完成した艦艇の八割は無人艦であり中身がこちらの魔法世界の技術とは別物であったが、残りの二割は有人艦で中身も魔法世界仕様の空中艦である。

これらの空中艦は完成次第各種テストされていたが、もちろんただ空中艦だけを揃えればいい訳ではない。

そもそも大型の空中艦を用いる軍事ドクトリンは土偶羅や横島にはなく、魔法世界の連合や帝国のドクトリンを参考に新たに作らねばならなかった。

また他にも魔法世界の海軍や陸軍に対応する為の各種海上艦艇や陸上兵器も揃えなければならないし、こちらも当然新たなドクトリンが必要になる。

土偶羅は空中艦建造と平行してこれらの作業も進めていた。

尤も土偶羅としても現状では仮想敵国であるメガロメセンブリア率いるメセンブリーナ連合とガチで戦争をするつもりはさらさらなく、全ては万が一の際に選択肢を広げる為の一手でしかなかったが。

ただかつての神魔戦争時には各種兵器も日本や関係各国への支援物資として製造しており、その設備などが残ってるのでさほど難しい仕事ではないという事情もある。



「生態系及び環境適合率九十九パーセントか。 ここがいいか」

そしてこの日土偶羅は、異空間アジトのメインシステムで一つの惑星を見つけていた。

それは麻帆良のある世界の地球と同じ銀河系に無数にある惑星の一つである。

その惑星は地球から遥か彼方にあり銀河系の反対側にある惑星だったが、惑星の環境が地球と酷似していた。


「ゲートを設置して開発するか」

土偶羅はその惑星の調査結果を確認すると固定式のゲートを異空間アジトと惑星に繋ぎ、ハニワ兵達を使って開発をさせようと計画している。

それは土偶羅による新たな計画で、地球でも魔法世界でもない惑星を第三世界として確保しておこうという計画であった。

本計画の根幹は異空間アジトの隠匿にある。

万が一の時に異空間アジトで建造した艦隊などを魔法世界で使用した後に、その建造場所を公開せねばならなくなった時にはダミーとして公開する為の世界であった。

魔法世界や魔界の存在が確認されてる世界で、新たな世界の一つがあっても不思議ではない。

まあ実際には大問題になるだろうが異空間アジトの存在だけは何があっても公開は出来ないのだから、それに比べればマシという程度だったが。


ともかく惑星を一つ最低限開発しておけばいろいろと選択肢が広がるのだ。

最悪の場合として魔法世界が崩壊した際には数多の一般の魔法世界人を助けて移住させることも可能だし、そこまで状況が悪化しなければ関東魔法協会を全面に押し出して第三世界として使ってもいいとも考えている。

ともかく広大な領土と豊富な資源は何よりの力になるし、もし仮に助けた魔法世界人に乗っ取られても全然惜しくない。

土偶羅としては魔法世界が崩壊してから魔法世界人を助けたいと無茶を言われてもいいようにも準備が必要だった。

横島は恐らくそんな無茶は言わないだろうが、明日菜や木乃香達は真実を知れば何を言い出すか分からない。

正直横島も土偶羅も不特定多数の人間を異空間アジトに入れる気は全くないので、それ相応の準備は必要であった。

そんな訳で惑星開拓計画が密かに始まることになる。


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