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平和な日常~冬~

結局この問題は会議を始める前提条件で揉めに揉めたが、反メガロ側がヘラス帝国を担ぎ出したのはメガロ側にとって厄介どころの話ではなかった。

メガロメセンブリアとヘラス帝国は文句なしの冷戦状態であり、下手な対応をすると魔法世界にまで問題が及ぶ。

ましてヘラス帝国は第三皇女が赤き翼と親交があり二十年前の真相を知っているのだ。

ヘラス帝国側は地球との交流でこれ以上自分達を廃除するならば、二十年前の真相を明らかにして世界に問うことも厭わないと強気の主張をしていたのだ。

結果としてメガロ側はヘラス帝国とアリアドネーをオブザーバーとして加えることを条件に妥協するしかなかったのである。

実際問題として地球側の魔法協会は全て自分達の管理する組織でありメガロメセンブリアこそ魔法使いの最高意思決定機関だと主張するメガロ側の主張が、現実的に有名無実化してるのは子供でも知っている事実であった。

この問題についてはメガロメセンブリア内部ですら孤立主義の考えから地球側への対応には批判や疑問が多い。

しかも会議が始まる前にクルト一派が失脚したので、誰も会議を必要としないままで会議を行うという流れだけが残ってしまった。


「仕方あるまい。 連中の気が済むまで付き合うしかないじゃろう。 それに曲がりなりにも地球側の魔法協会と魔法世界の二大国家が会議に揃ったのじゃ。 わしらから行かぬとは言えんよ」

そんな本来の意味を失った会議だったが、結果として会議を行ったという実績だけは残ることになる。

会議を止めれないのはメガロ側の都合だが、同時に地球側魔法協会の大半と魔法世界の二大国家が同じ会議に揃ったのは歴史的な快挙でもあった。

メガロの元老院はその快挙を自分達の成果だと声高に主張して、地球との交流にヘラス帝国を加えねばならなかった失点を覆い隠そうとしている。

近右衛門はクルト一派の暗躍やフェイト発見の問題で内外に失点続きだったメガロメセンブリアが、その失点を覆すほどの成果を少なくとも国内だけには見せたことでその政治力を改めて感じていた。

国外からの信頼度は相変わらず低いメガロメセンブリア元老院だったが、その武力と財力がある限り影響力は急激に下がることはない。

この件はメセンブリーナ連合圏内へのいい成果となったし、二つの世界の平和と安定を求めるプライドの高いメガロメセンブリア市民達のウケが特によかった。

自分達が率先して世界に平和と安定を齎すべしと考えるメガロメセンブリア市民は少なくないのだから。


「しかしこれだけの国と組織が揃って何一つ決まらないとは……」

ちなみに関東魔法協会としてはヘラス帝国を巻き込み、メガロメセンブリアとの力関係をイーブンにしただけで外交的には勝利だった。

おかげでメガロメセンブリアは自国に都合がいい主張を出来ずに会議は何一つ決まってない。

実は魔法世界も地球側魔法協会もこの会議で復活かと騒がれてる完全なる世界への対策や協力が話し合われるのではと期待する声があったが、現状では議題にすら上がってない。

そもそも地球側魔法協会は親メガロ反メガロ問わず魔法世界の問題への過剰な関わりは望んでないし、親メガロの魔法協会すらメガロメセンブリアを信頼してる訳ではない。

この会議は地球側魔法協会の戦時の指揮命令権の話し合いであり、それ以外は話し合わないことは地球側魔法協会の総意であった。

ただ近右衛門や一緒に居る魔法協会幹部達は、危機的状況にも関わらず何一つ決めれない国際的な会議に呆れてもいたが。

まあだからと言って自分達が音頭を取り魔法世界に関わる気は全くない。

そもそも会議を有名無実化するのは関東魔法協会の戦略だったのだから当然だが。

しかしそれでも近右衛門達は、現状の問題の多さに未来への不安を感じざるおえなかった。




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