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平和な日常~冬~

同じ頃、関東魔法協会本部では近右衛門が数人の幹部と打ち合わせをしていた。


「次回の会議は年明けか」

「最早やる意味などないのだがな」

彼らが話しているのは数ヶ月前に起こった、ネギの受け入れ問題の際にメガロメセンブリア側が提案した戦時の指揮命令権の問題だった。

実はあの問題に関する会議は今だに続いている。

尤も本題であったネギの去就が決まり指揮命令権の話し合いの推進役であったクルト一派が、メガロメセンブリア内でぼろくそに叩かれているので最早存在意義のない話し合いではあったが。

ただ困ったことにクルト一派は情報の一部を故意に一般市民に流出させてしまったので、全部なかったことには出来なかったらしい。

ましてメガロ側には国家として正式に始めた会議なだけに、一定の成果か結果が出るまでは止められないのだ。

無論クルト一派に責任を全部押し付けようとの動きもなかった訳ではないが、どうしても現政権のダメージになるので仕方なく会議は続いていた。


「こちらもヘラス帝国を巻き込みましたからな。 途中で抜ける訳にはいかなくなった」

さてそんな会議に関東魔法協会が出席している理由は、関東魔法協会側などの反メガロ側が当初会議にヘラス帝国を入れることを条件としたためであった。

これに関して地球の魔法協会は全て自分達の下部組織だと主張するメガロ側は激怒したが、実際問題として反メガロの魔法協会にはメガロ側の人間は居なくヘラス帝国の人間が外交官として滞在しているし反メガロの魔法協会の人間もヘラス帝国に外交官を置いている。

関東魔法協会などの反メガロ側は地球側魔法協会と魔法世界の話し合いには、同じ魔法世界の大国であるヘラス帝国も必要だとの姿勢を崩さなかったのだ。

ある意味地球側との交流の独占はメガロメセンブリアにとって、技術面や知識面で多大なアドバンテージになっていた為にこれは認められない事だった。

正式に会議に参加させると自分達の主張を否定するようなものなので当然なのだが、困ったことに魔法世界全体としては地球側との交渉をメガロメセンブリアに独占させることに賛成な者は実は多くはない。

特にヘラス帝国ではこの件に積極的であり、メガロメセンブリアが勝手に魔法世界を代表してることに納得してなかったのだ。

まあメガロ上層部からすれば純粋な魔法世界人は幻であり同じ生命ではないとの差別があるが、そもそもの問題として魔法世界人から見るとメガロ側がよそ者であり侵略者である。


加えてメガロ側に致命的だったのは、メガロメセンブリアのみならずメセンブリーナ連合内には地球側との過剰な関わりは避けるべきだとの孤立主義を主張する者も少なくない。

メガロメセンブリア元老院においても魔法世界の真相を知る一部の者以外は、孤立主義を主張する者が多かった。

まあ彼らからすると地球側の魔法協会を守り助けてやっているのに恨まれるのは割に合わないからと、メガロメセンブリアに友好的な魔法協会以外は放置すべしとの主張をしていたのだ。

反メガロの魔法協会がヘラス帝国やアリアドネーに接近する様子を見て、あんな利敵行為を働くような連中には関わるなとの意見が多かったのである。



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