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新しき絆

横島達は昔の話など、楽しい話をしながら、穏やかな時間を過ごしていた


夕方になると、雪之丞がやって来た

さすがに大晦日は暇だったようで、横島がアパートに居なかった為に、魔鈴の店に来たようだ

雪之丞も家族は無く、彼女のかおりも大晦日は忙しくて行くとこが無かったのだ


人数が増えて賑やかな魔鈴の家では、魔鈴とシロとタマモが夕食の準備をしていた

「シロちゃんは肉を切ってね。 タマモちゃんは野菜を切ってね」

魔鈴は二人が怪我をしないように、気をつけながら料理をしていた


「何を作ってるでござるか?」

皿には、シロが切った肉やタマモが切った野菜が盛られていた

シロは、まだ何を作るかわからないようだ


「今日はすき焼きにしようと思うのよ。 後は、サラダと軽いおかずを少しね」

魔鈴は笑顔でシロに説明していた


「油揚げは…?」


タマモはキョロキョロ見回すが、肝心の油揚げが無いのが気になっていた


「油揚げもたくさんあるわよ。 タマモちゃん、油抜きして準備してね」

魔鈴はそんなタマモを微笑ましく見ていた


本来はすき焼きに油揚げは入れないのだが…

合わない訳ではないだろう


魔鈴はしっかりと大量の油揚げを用意していた

タマモは冷蔵庫の油揚げを見ると、嬉しそうに準備を始めた


一方、リビングでは雪之丞と横島が、一足先にゆっくりビールを飲んでいた

「横島、土産だ」

雪之丞は懐から、老酒などの中国酒が数本出した


「お前中国に行ってたのか?」

横島は酒瓶を眺めて聞いていた


「いや、香港だよ。 あっちに知り合いが居てな、頼まれて一仕事してきたんだ」

雪之丞は相変わらず、黒いコートを着込んでいて、酒はコートから出していた


「相変わらず、あちこちに行ってるな~」

「最近はお前達とやる仕事で金には困ってないんで、知り合いに頼まれた以外は行かんよ」

横島が呆れ半分感心半分で話したのに、雪之丞は酒を飲みながら答えた


横島と雪之丞がそんな話をしている間に、夕食の準備が整っていた


「二人共、ご飯よ」

横島と雪之丞はタマモに呼ばれて、目を輝かせてテーブルに座った
 
「おー! すっ…すき焼きだ!!」

横島はすき焼きなど、いつ食べたか覚えて無かった

まだ煮えてないが、うまそうなすき焼きの匂いに思わず笑顔になっていた


「ラッキーな日に来たぜ! すき焼きなんて一人じゃ食えんからな~」

同じく、すき焼きなどめったに食べれない雪之丞も食べる気満々だった


「二人共、もう少し待って下さいね~」

魔鈴はそんな二人を笑顔で見ながら、すき焼きを作っていた


「横島も雪之丞も、少しは落ち着きなさいよ。 すき焼きは逃げないわよ」

タマモは子供のように、騒ぐ横島と雪之丞を微妙に苦笑いで見ていた


「甘いなタマモ。 油断してると全部食われるぞ!」

横島はニヤリとして、タマモに話した


「まだまだ、たくさん用意してるから大丈夫ですよ」

魔鈴は待ちきれない用意の横島、雪之丞、シロに笑って説明した


テーブルの上には6~7人前は肉や野菜があった

だが、冷蔵庫にはまだ余分に入ってるのだ

雪之丞が来るのは知らなかったが、魔鈴はみんながお腹いっぱい食べれるように、いつもよりたくさん用意していたのだ

そんな中、鍋は美味そうにグツグツ煮えていた

「さあ、出来ましたよ」

魔鈴は最後に味見をして横島達に言った


「「「「いただきます!」」」」


横島達はそう言うと、一斉に鍋をつついた


横島、雪之丞、シロは肉を真っ先に取り合いしていて、タマモはやはり油揚げをとっていた


「こら、雪之丞! 肉を食い過ぎだぞ!」

「横島、お前の方が多いじゃないか!」

「先生も雪之丞殿も取り過ぎでござる!」


横島、雪之丞、シロは我先にと、競うようにがっついて食べていた


「おー! 美味い! こんな美味いすき焼きは久しぶりだ!」

横島は涙を流しそうな勢いで感激しながら食べていた


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