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平和な日常~秋~3

同じ日の中等部では昼休みを利用してあやか・超・夕映・のどか・木乃香の五人が、一カ所に集まって麻帆良カレーの提供店に関する書類に目を通していた。

伸二の店が試験的な提供店になることが正式に決まったが、おかげで店の再開までに決めねばならないことが山ほど残っている。

伸二の料理は横島が指導してるからいいが、他にも二店ほど選ばれた試験店の人間は雪広グループの系列ファミレスで研修予定だった。

基本的なフランチャイズのノウハウは雪広グループにもあるから任せているが、伸二の店を試験店にしたことで木乃香達が調整や報告しなければならないことも出ていたのだ。


「店の再開は来月初めを予定してますが、宮脇さんの修行次第ではズレ込む可能性もあるです」

この日は伸二の修業の状況なども含めて今後の対策を考えているが、いろいろと難しい問題も多かった。


「ある程度オリジナリティーを出さないと後が続かないないヨ」

「横島さんもそう言うてたわ」

夕映が伸二の状況を報告して今後の対策を考える一同だが、超は現状の雪広グループや学園の食堂棟にはないオリジナリティーが必要だと言い切り木乃香もそれに同意する。

以前にも少し説明したが麻帆良カレー自体は作り方はさほど難易度は高くはないが、基本レシピをそのまま作るだけでは伸二の店は先行きが怪しいのだ。

無論店が変わったと印象づけるだけならば最初のインパクトだけで成功するかもしれないが、同じ物を出すだけでは先行きが怪しくなるのは確かだった。

それに麻帆良カレーの実行委員会の立場としては、オリジナリティーを出したメニューで勝負してくれないといいデータが取れないとの本音もある。

ただここで難しいのはアレンジなんてそう簡単に出来ないことであり、ましてアレンジし過ぎて別物のようになっても困ることだろう。

まあ美味しいか美味しくないかは個々の好みの問題もあり一概に判断は難しいが、イメージをぶち壊すようなメニューは認めにくいのが現状だった。

現在麻帆良には冗談抜きで土日には関東近郊から麻帆良カレーを求めた客が来てるし、そんな客達が麻帆良に落とすお金も馬鹿には出来ない。

実際にはわざわざカレーを食べに来てるというよりはドライブや何かのついでに麻帆良に寄るという方が正しいのだろうが、新たな観光資源として注目を集めてるのは確かである。

そういう意味では伸二の店の注目度は決して低くはない。


「今回の宮脇氏と他の二店舗の研修は今後の新規加盟店の研修の参考にする予定です。 ですので研修状況や成果の報告書は書かねばなりませんわ」

「それはウチと夕映達で纏めるからええよ」

「ただ横島さんの指導は基準に出来ないと思いますけど……」

結局少女達はこの後も伸二の修業の進捗状況の確認や今後の予定について話し合うが、現状では全てを報告書にして後日実行委員会に提出することが決まる。

尤も横島の指導を他の人にそのまま流用出来ないと控え目に進言するのどかの意見も、同時に実行委員会には報告されることになるが。

ともかく伸二の店の再開絡みの相談は、本人に余計なプレッシャーを与えないようにと学校で行われることになる。

ちなみに超なんかは何故自分が手伝わされてるのか少し疑問を感じていたりもしたが。



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