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平和な日常~秋~3

同じ頃タマモとさよは、ハニワ兵に教わりながら本に挟むしおりとブックカバーを手作りしていた。

夕映の誕生日が近いということでさよとタマモも誕生日プレゼントをあげようと思ったらしく、二人で考えてよく本を読んでる夕映にはしおりとブックカバーがいいだろうと考えたらしい。


「これなんか可愛いですね」

「こっちもいいよ」

まずはブックカバーから作ることにした二人だが、ハニワ兵の勧めで布製にすることにしていた。

生地はハニワ兵が洋服作りに使っている物がたくさんあるし、簡単に出来て普通に水洗い出来ることからお勧めらしい。

その結果ハニワ兵の洋裁部屋でいろいろな生地を広げてどれがいいかと選ぶ二人は本当に楽しそうである。

特にプレゼント好きなタマモは張り切ってやる気を見せていた。


「自分でお裁縫するのなんて初めてなんです。 みんなの授業を見ていたことは何度もあるんですけどね」

楽しそうにおしゃべりしつつも生地が決まるとブックカバーの形に縫い合わせることになるが、タマモはもちろんのことながらさよも記憶にある限りでは初めてらしく少し緊張気味である。

日頃ハニワ兵の裁縫の様子は見ている二人だが、残念なことにハニワ兵には人のような形の手がある訳ではないのであまり参考にならない。

実のところハニワ兵は念力というかテレキネシスの一種で物を掴んだり運んだりしている。

従って端から見ているとハニワ兵が洋裁する姿は、布や針が空中に浮いて勝手に縫われていくようにしか見えない。

これはこれで見ていても面白いが、人間の動きに合わせた形にするにはそれに合わせて実演するしかなかった。

幸い夕映の読む本の傾向は分かっているので、文庫本や専門書に合わせて何種類かブックカバーを使っていく。

スケッチブックに文字を書き丁寧に縫い方を教えながら、なおかつ実演して見せるハニワ兵は輝いて見えるほど充実した様子である。

二人が針で怪我をしないように気を配りつつ、タマモとさよは二時間ほどでブックカバーを完成させた。

次にしおりを作ることになるのだが、これも布製にしてブックカバーと同じ布で統一する予定らしい。

こちらは至って簡単で厚紙を中入れて接着剤で布をくっつけるだけだった。

ただしそれだけでは面白くないので、レースや別の布なんかも使って可愛く仕上げている。

作ったのがタマモとさよなので最終的にかなり可愛いブックカバーとしおりになったが、ハニワ兵の熱意もあり出来自体はかなり本格的になった。


「よろこんでくれるかな!?」

「きっとよろこんでくれますよ」

完成したプレゼントを箱に入れてきちんと包装すると、手作りとは思えないほど立派なプレゼントになる。

夕映が喜ぶ顔を想像しながら最後の包装まで二人で仕上げたタマモとさよは、期待と不安が入り混じったドキドキ感の中でこの日の夜は吹けてゆく。



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