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幻の初恋

横島がアパートに着いたのは、もう日が暮れた後だった


「あれ? 部屋の明かり付けて行ったっけ?」

横島はアパートの窓から見える明かりに気が付き、首を傾げる


ガチャ

ドアを開けると、そこは別世界であった


「すいません。 間違えました」

横島は思わず謝りドアを閉めた


「あれ… ここは俺の部屋だよな…」

横島はドアを閉めた後周りを見渡す


ガチャ

その時、横島の部屋のドアが開く


「横島さん、何してるんですか? ここはあなたの部屋ですよ」

現れた小竜姫の顔を横島は不思議そうに見つめる


「よっ…横島さん、そんなに見つめられると私…」

小竜姫は恥ずかしいのか微妙に顔を赤らめて、小声でつぶやく


「小竜姫様じゃないっすか!? どうして此処に?」

横島は小竜姫のつぶやきに、ようやくこれが現実だと理解したようだ


全く別世界のように綺麗になっている部屋

その上、美味しそうな匂いまでしたのだから、横島は部屋を間違えたと思ったようだ

そして現れたのが小竜姫である
横島は妄想や夢なのか現実なのか理解出来なかったのだ


「とりあえず、入って下さい」

小竜姫は嬉しそうに横島を中に入れる


「これが、俺の部屋ですか…」

横島は久しぶりに綺麗になった部屋を、信じられない気持ちで眺めていた


「勝手に掃除してすいません。 でもあまりに酷かったもので…」

小竜姫は申し訳無さそうに、横島を見つめる


「いやいやいや、全然ありがたいであります! 小竜姫様に部屋を掃除して頂けるなど、一生の幸せであります!」

横島は申し訳無さそうな小竜姫に、焦って訳の分からない口調になっていた


「クスクス… 横島さん、口調がおかしいですよ。 それよりもご飯にしますね」

小竜姫は慌てる横島に、思わず笑って夕食の支度をする


そして別世界のように綺麗になった部屋で、横島は小竜姫と2人っきりで夕食を食べることになった


「いただきます!」

食事をしながら横島と小竜姫は、2人っきりの空間で何を話していいかわからず、互いに見つめては顔を赤らめていた



その頃妙神山では…


「全く、緊急事態だと言うから来てみれば…」

ワルキューレは呆れながらヒャクメを見る


「横島と小竜姫は子供でちゅね…」

パビリオは、横島と小竜姫を見ながら呆れ気味につぶやく


「なぜ私まで呼ばれたのだろう…」

ベスパは困った表情でその場に居る


「こんなに面白いことは二度と無いのねー!」

ヒャクメは自信満々に言い切る


「後でバレたら怖いですね…」

ジークは何か予感があったのか、顔色が悪かった


「それにしても、小竜姫に先を越されるとはな… 魔界も横島に目を付けていたのだが…」

ワルキューレは苦笑いしながらも、しっかりと横島と小竜姫を覗いている

やはり興味があるようだ


「あいつが元気そうで何よりだな…」

ベスパは久しぶりに見た横島が元気そうなのを見て安心したようだ


「小竜姫のやつ、ワシらの夕食の事忘れとらんか」

老師は呆れ気味につぶやく


妙神山では賑やかに横島と小竜姫を覗いている

そしていつの間にか酒盛りになっていた


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