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あの素晴らしい日々をもう一度

「流石に小竜姫様が出るのはマズイんじゃ……」

「私は分類的には式神や守護鬼神と同じだと思いますよ。 そもそも竜神は規約に書かれてないですから」

本気か冗談かは令子には分からないが、結構やる気を見せる小竜姫に令子は引き攣った笑顔を浮かべる。

仮に小竜姫が本気で出れば、GS試験どころでは無くなってしまうだろう。

正直メドーサの息のかかったGSよりも、小竜姫と契約した横島が目立ってしまいそうだった。

そもそもGS試験には、小竜姫のような神界出身の武神が関わることなど想定してないのだ。

確かに守護鬼神などは分類的には神族の一員だが、はっきり言うと神族と妖怪の中間のような存在でもある。

神族が特定の人間に加護を与えるケースは現代でもよくあるので構わないが、小竜姫自身が戦うとなれば話が変わってしまうのだ。


「お願いだから出るのだけは止めてちょうだい。 加護程度ならごまかせるけど、神族と人間が対等な契約を交わしたなんてバレたら大変なのよ」

昨日からどこか様子がおかしい小竜姫なら、何の迷いもなく横島のGS試験に出て来そうで令子は怖くなったらしい。

イマイチ事態の深刻さを理解してない小竜姫に、令子は必死でGS試験に出ることと横島との契約の話は秘密にするようなお願いする。

普段は令子の方が常識外れの破天荒な一面があるだけに、何故か立場があべこべになってる小竜姫と令子を横島は見ているしか出来なかった。


「私も進んで出たい訳ではありませんよ。 横島さんが本当に危険にならなければ介入はしません。 まあ美神さん以外で横島さんが危険になるのはあと一人くらいでしょうけど」

何故か必死に説得されている小竜姫は、未来の令子を思い出しクスクスと笑ってしまう。

魔族も認める非常識である令子も割と普通の価値観があるのだと、小竜姫は今更ながらに気付いていた。


「あの……小竜姫様。 俺べつに無理してGS試験欲しい訳じゃないんっすけど」

「無理はしませんよ。 でも、どちらかと聞かれたら欲しいでしょう?」

「……そりゃまあ安全で簡単に資格が取れるなら……」

そんなミカ・レイの姿でグッタリと疲れた表情の令子の前では、横島と小竜姫がGS試験をどうするかの話を始める。

正直横島としてはどうしてもGS免許が欲しい訳ではないのだ。

ただ安全で楽に取れるなら欲しいとも思ってしまう辺り、この頃の横島がよくわかる考えだった。


「大丈夫ですよ。 私に任せて下さい」

相変わらずGS試験に乗り気になれない横島だったが、とりあえず小竜姫に逆らうつもりはないらしい。

今のところ優しいしご褒美の件もあることから、多少心配にはなるが嫌がるまではいかないようである。


(まさか本気なの?)

この時令子は、やっと小竜姫が本気で横島に惚れてるのではと気付いていた。

何があったのか知らないが令子には小竜姫が本気に見えている。

もしかしてメドーサの件は横島に会いに来るついでだったのかと、見当違いの方に考えていくのもあまりの事態に令子自身疲れてるせいかもしれない。



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