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嵐を呼ぶかもしれない男

「横島君、最近忙しそうね。」

「まあな。 美神さんがオカルトGメンに行ってるからさ。 その間に稼ごうってことになってんだわ。」

「ちゃんとGSしてるんだ。」

一方横島はと言うと相変わらずお昼で早退していたがそれでも午前中は学校に行っており、以前とは違う様子になったことが学校でも少し話題となっていた。

GS試験の前にはいかにも貧乏臭いような雰囲気を纏っていて学校に来たかと思えば疲れた様子で寝てるだけだし、お昼はお昼でパンの耳をそのままムシャムシャと食べるだけなので最早女の子にモテるモテない以前の問題だった。

それが今では多少疲れた様子の時はあっても日々に充実した表情であるし、お昼の弁当は重箱な上に服装なんかも以前とは比べ物にならないほど小綺麗になっている。

人というのは現金なもので横島にGSなんて無理だと笑っていたものや、絶対失敗すると馬鹿にしたようにからかっていた者達が掌を返したように反応が変わっていた。

元々さほど嫌われてる訳ではなかったので横島が頑張った結果だろうとほとんどのクラスメートは認めていたのだ。

ただ以前つるし上げにしようとした一部の根暗な男子はそんな横島とクラスメート達を苦々しく感じているようだが、横島を自分達の下にすることで優越感に浸っていたような連中なだけに誰も手を差し伸べることはないし共感する者すら居ない。

横島に至っては野郎に興味なんてないしクラスメートとはいえ親しくない連中なだけに特に会話すらない。

冷めてるようだがお世辞にもいい学校とは言えぬ横島の学校ではそれが普通であり、以前の横島の立場に彼らが落ちただけである。


「でもあの美神さんがよくオカルトGメンに協力してますね。 正直意外でしたよ。」

「ああ、それな。 オカルトGメンの西条って奴が美神さんの母親の弟子らしくって美神さんの初恋の人なんだと。」

「へ~、美神さんにもそんな話があるんですね。」

なおピートなんかは横島の変化に慣れたようで特に気にしてないものの、こちらはこちらで唐巣と共にあの令子がオカルトGメンの仕事をしていることに師弟揃って驚いていたらしい。

オカルトGメンはGSにとって商売敵であるし、最近日本に進出してきたオカルトGメンにGS達は警戒している。

特に師匠の唐巣ですら金がないと協力しない令子の性格からしたらオカルトGメンに協力するなど思えなかったようだ。


「なんか腹黒そうで人のこと見下してそうな奴だし俺は協力する気ないけどな。」

「そうなんですか? ヨーロッパなんかだと経歴作りの為に数年在籍することはよくあるみたいですよ。 GSになるにしても元オカルトGメン捜査官の経歴が役に立つようですから。」

ちなみに横島の中の西条の評価は相変わらず良くない。

会ったのは初日の一回のみであるが、初対面の時の鼻につくような態度がやはり気に入らないらしい。

令子や小竜姫には露骨なほど愛想を良くした癖に、横島と雪之丞に対しては眼中にないと言わんばかりに見下したとまでは言わないが冷たい態度を取ったことが影響している。

無論基本的に横島はモテる男が嫌いだという単純な理由もあるが、ピートのような男とは何だかんだ言いつつ友人として付き合ってるだけに横島の西条嫌いは西条にも問題がない訳ではない。

まあピートも伊達に長生きしてる訳ではないので横島の評価を鵜呑みにすることはないが。


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