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新しき絆

横島と魔鈴が一緒に座り、向かいにピートが座った


「ピート、今日会ったことは誰にも言わないで欲しいんだが…」

横島は真剣な表情になってピートに頭を下げた

横島には最悪文珠で記憶を忘れさせるという方法があるが、ピートは一応友達だし、出来れば使いたくなかった


「あの… お二人は付き合ってるのですか?」

ピートは横島と魔鈴が恋人なのを隠す為に、口止めしたいのかと思った


「ブッ!! ゲホッ… ゲホッ…」

横島はピートの言葉に、飲みかけのコーヒーをむせてしまった

魔鈴はピートに言われて、顔を赤らめてしまった


「ピート~、どこをどう見れば、恋人に見えるんだよ…」

横島は慌てて誤魔化すように話した


「どこをどうって言われても…」

ピートは不思議そうに横島と魔鈴を見た

まさか全部とは言えなかったのだ


横島はため息をついてピートに説明を始めた

「いろいろ複雑な事情があるんだが俺さ、卒業したら魔鈴さんの店で働くんだ。 だから卒業までは、誰にも話さないで欲しい。 もちろん神父にもな…」
 
 
横島の話にピートは目を丸くして見つめていた


「本当ですか!?」

ピートは驚いて横島と魔鈴に話した


「はい、本当ですよ。 私からお願いしました」

魔鈴は少し恥ずかしそうだが、嬉しそうに話した


ピートは魔鈴をあまり知らないが、それでも驚いて魔鈴を見ていた

その表情が、恋する女性の表情そのものだったのだから…


「美神さんには絶対に知られる訳にいかないんだ。 卒業したら詳しく話すから、今日は勘弁してくれ」

横島は真剣な表情に戻ってピートに頼んだ


「横島さん…」

ピートは言葉が続かなかった

こんな真剣な横島を見るのは、あの事件の後無かったのだから…


そして、一瞬見えた怒りの感情にも驚いていた

それは、令子の名前の時に一瞬だけ見えていた

数百年生きてるバンパイアハーフであるピートには、一瞬だったがその感情が見えていた


「わかりました。 誰にも言いませんよ。 先生にも。 でも横島さん…、もし僕で力になれる事があれば言って下さい」

ピートは笑顔を見せて横島と魔鈴に話した


「ありがとう。 ピート」

横島は安心したように笑って、魔鈴と見つめ合った


「いえ、事情は知りませんが気持ちは理解出来ますから…」

ピートは苦笑いしていた


何がどうなってるかわからないが、横島が令子から離れて行こうとしているのは理解した

そして、横島と魔鈴が強い絆で結ばれてるのも感じていた


令子がそんな横島の現状を知れば、何をするかわからない


あからさまな妨害や嫌がらせをするのは、ピートには簡単に想像出来た


ピート自身、令子には出来るだけ関わりたく無かった

そんなピートには横島の気持ちがよく理解出来たのだった



横島と魔鈴とピートは、軽く話をして別れた

お互い年末で忙しかったのだ



ピートは帰り道で、横島の事を考えていた

(横島さんが、まさか美神さんの事務所を辞めるとはね…)

ピートは予想もしなかった現実に改めて驚いていた


「横島さんも大変だな…」

ピートはふと呟いた


よく考えたら、横島はただのバイトなのだ

時給255円の…


令子にこき使われるのを、当たり前にみんな考えていた

そして、これからもずっと続くとみんな思っている

その横島が事務所を辞める…

ピートにはそれがどれだけ難しいか理解出来ていた


「僕も、本当の横島さんを見てなかったのかもな…」

ピートは友達として、自分は横島の何を見ていたのかと思うと、少し申し訳なく感じていた



一方横島と魔鈴は、魔鈴の家の大掃除をしていた


「ごめんなさいね。 横島さん、私が買い物に誘ったばっかりに…」

魔鈴は申し訳なさそうに謝った


「いや、気にしないでください。 いずれみんなにバレることですから… いつまでも隠しておけないですしね。 最悪、美神さんにバレたら、シロとタマモをすぐに保護すれば問題無いっすよ」

横島はあまり気にした様子も無く、笑って魔鈴に話した

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