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新しい生活

魔鈴宅のリビングで休憩をした横島達だったが、かなり空気が重い

雪之丞は不機嫌そうに無言で茶菓子を食べているし、タイガーはこの空気をどうしていいかわからないようであった


「タイガー、なんか悩みがあるなら相談にのるぞ?」

間に挟まれた横島は、少し困った様子で落ち込み気味のタイガーにその理由を尋ねる


「いや… その…」

なかなかハッキリ言わないタイガーに雪之丞は苛立ちを募らせていくが、無言で我慢しているようだ

そんな中、タイガーは少しずつ自分の中にある悩みを語っていく


「ワッシでは、みんなみたいなGSになれないですケン……」

タイガーが語った内容は、自分はGSになるのは無理だと言うこと

エミや横島や雪之丞など、タイガーが知るGS達はみんな強く立派に見える

それに比べて自分の能力すら制御出来ない自分が、本当にGSになっていいのかわからないのだ


「別に無理してGSになる必要無いんじゃないの? あなたなんでGSに成りたかったの?」

タイガーの長い話を途中で遮ったのはタマモである

GSに成れないなら辞めたらいい、人間には数限り無く仕事の種類があるのだ

わざわざ、苦労する仕事を選ぶ必要は無いとタマモは思う

横島の時もそうだったが、基本的に妖狐のタマモは争いを好まない

楽に平和に暮らせるならそれが一番だと思っていた


「拙者もそう思うでござるよ。 元々人狼は狩りと小さな畑仕事しかしないでござるが、人間はたくさんの仕事があるでござる。 タイガー殿がやりたい仕事を探せばいいと思うでござるが…」

タマモに続きシロも同意見なようだ

以前は人狼族と美神事務所の閉鎖的な世界しか知らなかったシロにとって、魔鈴の店での接客業は予想以上に楽しいものであった

美神事務所では自然に除霊の手伝いをさせられていたが、シロにとってはこちらの方が楽しかったようである


「いや…、GSには成りたいです…… それにワッシのような人間は他の世界で生きることは無理だと思うんですケン」

二人の意見にもタイガーは微妙な表情で返事をするが、イマイチはっきりしない

やはりタイガー自身、自分の気持ちや考えを整理しきれてないのだ


「とりあえず、今夜は魔鈴さんの除霊を見学すればいいよ。 美神さんやエミさんとは全く違うから」

タイガーの悩みが思った以上に複雑なのを感じた横島は、この場での解決を避けていた

悩みを無理に解決させるのでは無く、タイガーが自分で悩みを解決出来るような手助けが必要だと横島は思う

そしてその方法として、普通のGSとは全く違う魔鈴の除霊や、その他タイガーが今まで経験の無いことを経験させる事が必要だと考えていた


「雪之丞もあんまり短気にならないでな、タイガーはタイガーで頑張ってるんだからさ」

「わかったよ」

タイガーに続きいろいろ言いたい事がありそうな雪之丞も宥めて、横島達は修行の続きをしていくことになる


(これは一筋縄ではいかないわね…)

ずっとタイガーを観察していたタマモは、タイガーを精神的に鍛える難しさを感じていた


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