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新しい生活

さて魔鈴の自宅のある異界では、昼食後に雪之丞がタイガーに接近戦の基礎を教えていた


「お前の場合は体がでかいから、あまり接近し過ぎない方がいい。 まずは自分の間合いを覚えろ」

簡単な説明の後すぐに体に覚えさせるやり方で修行をさせる雪之丞だが、今教えてるのは試験対策であり格闘の基礎ではない

本当は格闘の基礎を教えたいところだがGS試験まで時間が足りないため、接近戦の闘い方を基本に教えている


「どう思う?」

「不器用でござるな…」

「テレパスの能力があるんでしょ? テレパス使った戦い方を教えた方が早いんじゃないの?」

雪之丞とタイガーの修行を見ているのは、横島とシロとタマモであった

本当は一緒に修行するはずだった横島だが、タイガーの指導は雪之丞に任せっきりである

横島自身、雪之丞に戦い方を習っている身なので自然と雪之丞に任せっきりになっていたのだ


「俺もタイガーが直接戦う姿、初めて見るんだよな~ いつも誰かの後ろに居るから…」

横島は驚きと微妙に引きつった表情でタイガーを見ている

シロが思わず不器用と言ったが、まさにその通りだった


「試験だけを考えれば、テレパスの使い方次第なんだけど。 エミさんはその後の事も考えて精神的に鍛えて欲しいみたいなんだよな~ なんとかならないかな?」

少し困ったような表情の横島はタマモにいい考えがないか聞くが、タマモの表情は固いままである


「弱いなら弱いなりに頭を使うしかないわよ。 精神的強さって簡単に言うけど、精神的弱さの原因を見つけて解決するなんて簡単じゃないわ」

タマモに最もな意見を言われた横島は、苦笑いを浮かべてタイガーを見つめた



一方修行をしている二人だが、雪之丞は次第に苛立ちを募らせていた

その訳は、タイガーから強くなりたいと言う気持ちが感じられないのだ

教えたことは忠実に練習するタイガーだが、どこか元気が無く気合いが足りない

「タイガー、やる気がねえなら止めようか」

ずっと我慢していた雪之丞だが、やる気の無い人にこれ以上教えるのが嫌になっていた


「えっ…!? あの… ワッシはそんなつもりは…」

不機嫌そうな雪之丞にタイガーは戸惑ってしまう

彼は彼なりに一生懸命にやっているし、雪之丞の苛立つ理由がわからない

「お前、何考えてるんだ? GS試験受ける奴は、みんな人生賭けて死に物狂いで来るんだぞ!」

「ワッシは一生懸命やっとりますが…」

苛立ち怒鳴る雪之丞に、タイガーはビクビクしながら反論する

しかし、そんなタイガーの態度が余計に雪之丞を苛立たせていた


「雪之丞、ちょっと休憩しようぜ。 怒ってもタイガーは変わらねえよ」

空気が更に険悪になりそうな時、見物していた横島が仲裁に入る

横島としては両方の気持ちがなんとなくわかる故に、少し話し合う必要を感じていた


「横島…、お前だってわかってるだろ? やる気や覚悟が無い奴の生きれる世界じゃねえ!」

「そんなことは、わかってるよ。 ただ、タイガーがGSになりたいのは確かなんだ。 少し話を聞こうぜ」

怒りの収まらない雪之丞を横島はなんとかなだめて、横島は魔鈴の家で休憩することにした


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