このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

平和な日常~秋~2

一方この日の横島は木乃香と明日菜とタマモとさよと一緒に、ハロウィンウイークのお菓子作りに追われていた。

実は近所の店など数件から、ハロウィンウイークで配るお菓子の注文があったのだ。

依頼の件数自体はさほど多くはないが、一件につき五百個の菓子を作るのは大変である。


「そういや今の子供って、どんなお菓子が好きなんだ?」

「特に変わらないと思うわよ。 でもハロウィンで配るお菓子だとクッキーとかチョコとかキャンディやスナック菓子も結構多いわね」

とりあえず注文品のクッキーを作っていく横島達だったが、横島はまだ自分の店で配るお菓子を決めかねていた。

結局木乃香達に子供の好みを尋ねるが、木乃香達も分からずに明日菜はハロウィンで配られる定番のお菓子を上げていく。

実際ハロウィンウイークで配られるお菓子には、差というか違いは結構あるようだ。

一番多いのは市販のお菓子を詰め合わせした物らしく、数十円のスナック菓子やチョコなんかが混ざって入ってるらしい。

横島が注文を受けたのはクッキーやマカロンなんかの焼き菓子だったが、市販のお菓子でない物を配る店は子供達の間で情報がすぐに伝わるらしく早々に品切れになるようだった。


「へ~、そうなんだ」

「あの頃はあんまり考えてなかったけど、配る方も大変なんでしょうね。 これも利益ないんでしょ?」

明日菜や木乃香の小学校時代のハロウィンウイークの話を聞く横島は感心したような表情だったが、明日菜は配る側に回ってその大変さを実感している。

横島と木乃香が作ったクッキーを明日菜とさよとタマモの三人が冷まして袋に詰めてラッピングをしていくのだが、結構手間が掛かって大変だった。

しかも手作りにしては量が多くどう考えても利益が出る感じではない。

明日菜は夕映ほど細かくないが、流石に半年以上仕事をしてるのでその程度なら分かるようになったようである。


「依頼人は常連だしなぁ。 それにちょっと聞いたけど、どこの店も利益無しでやってるっぽい。 料理大会の新堂さんの店でも、利益無しで注文受け付けてるんだってさ」

明日菜は若干心配そうだが、元々ハロウィンの配るお菓子はほぼ原価で換算するのが麻帆良の習慣になっていた。

横島も今回は過剰に目立たないように少し調べたらしいが、洋菓子店などの主に菓子を作る店ではハロウィンに配るお菓子についてはほとんど原価で引き受けていたのだ。

あくまでも麻帆良の商店同士が協力して盛り上げようという趣旨らしいが、菓子店側も宣伝効果があるので悪い話ではないと横島は近所の常連のお年寄りから聞いている。


「ほんと麻帆良の人ってお祭り好きよね」

横島が語る大人側の話も木乃香達が語る子供側の話も、総じて同じなのはみんな祭りを楽しんでるということだった。

明日菜はニコニコと楽しそうにお手伝いするタマモを見て、思わず笑ってしまっていた。


92/100ページ
スキ