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新しい生活

時は少し遡り、魔鈴の店から帰ったエミはさっそくタイガーに魔鈴の店に行く話をしていた


「タイガー、おたく明日からしばらく魔鈴の店に行きなさい。 あっちには話を通してあるわ」

「まさか… クビですかいのう……」

突然そんな話をされたタイガーは、思わず首にされたと落ち込んでしまう

いつまでたっても役に立たない自分なら、いつクビにされてもおかしくないと前から不安だったのだ


「話はしっかり聞きなさい! 私とおたくじゃ、GSとしてタイプが違い過ぎるのよ。 私はGS試験のような直接戦闘は不向きなワケ。 だから魔鈴に頼んで来たわ。 あそこは横島や雪之丞が居て直接戦闘の修行にはちょうどいいのよ」

相変わらず気の小さいタイガーに少し苛立つエミだが、気持ちを落ち着かせて説明していた


「ワッシは、GS試験はまだ早いと思うんですが…」

少し前にも言われたGS試験の話だが、タイガーはあまり乗り気ではない

前回のGS試験のイメージが強く、合格すると思えないのだ


「まだ早いと思うなら、しっかり修行して来るワケ。 横島のようにしぶとく戦う方法を覚えなさい。 それに魔鈴は現代で唯一の魔女よ。 除霊を見るだけでも勉強になるワケ」

試験を受ける前から受からないと決め付けるタイガーに、頭を悩ませるエミ

受からないと思うなら何度でも試験に受けるようなやる気や、受かるように修行するような強さが欲しいのだ


(全く… せめて令子の百万分の一でも、厚かましさがあればいいのに…)

あまりにも精神的に弱いタイガーに、エミは思わず愚痴を言いそうになっていた

タイガーの場合、令子の百万分の一でも厚かましさがあれば試験など簡単に受かるだろう

そう思うと心底疲れを感じてしまうエミだった



そして次の日、タイガーは約束の一時間も前に魔鈴の店を訪れていた


「あの… よろしくお願いしますケン」

緊張気味にオドオドと頭を下げるタイガーに、横島と魔鈴は複雑な表情を浮かべる


「とりあえず、楽にして下さい。 GS試験対策の修行と言うことですが、雪之丞さんがまだなので少し待ってて下さいね」

優しく話しかける魔鈴だが、タイガーは緊張したままだ

魔鈴とは顔見知りなのだが、仕事で来るとなると不安になるらしい


「お前なんでそんな緊張してるんだ? 魔鈴さんとはこの前も会ったろ?」

不思議そうに尋ねる横島にも、タイガーははっきりしない


「いや… その… いざ一緒に仕事をするとなると、緊張してしまうんですジャー」

小声でつぶやくタイガーを見ながら魔鈴は考え込んでいる


(これはエミさんが苦労する訳ですね…)

タイガーは基本的に、マイナス思考で考え過ぎるタイプなのだろうと魔鈴は思う


(しかし、以前のクリスマスの時はもう少し違ったような…)

あまり記憶に無いタイガーだが、ここまで酷くなかったと魔鈴は感じていた


「随分元気ねえな~ なんかあったか?」

同じくタイガーの様子に疑問を感じる横島が聞くがタイガーは相変わらずハッキリしない


実はタイガー自身、良くわかってないのだった

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