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平和な日常~秋~2

さてお昼のランチタイムを迎えた横島の店では、あやか・千鶴・夏美の三名が急遽助っ人として働いていた。

あのあとお昼前まではまだ持ち帰り客が大半で店内で食べていく客はいつもよりある程度多いくらいだったのだが、ランチタイムの時間になると店内まで満席になり外には行列が出来てしまう。

その結果急遽助っ人として呼んだのがあやか達だったのである。

あやかと千鶴は紅茶やコーヒーを入れるのも出来るし料理やお菓子作りも一通り出来るので、厨房もフロアもどちらでも大丈夫であり助かった。

何より個室を抜いても四十席ある広い店内が満席になり行列が出来たのは横島達の想定を超える来客人数である。

いいのか悪いのかランチタイムになると通常の食事のメニューまで頼む客が大幅に増えたので、横島はあやかと千鶴と一緒に完全に食事の調理に専念していた。


「木乃香ちゃんのスイーツ以外が思った以上に売れるな」

実のところ横島達も通常メニューが売れることは想定しており通常のメニューも三倍近い仕入れをしていたのだが、その予測をお昼で軽く越えそうな勢いである。

特に麻帆良カレーは売れすぎてしまい、横島が忙しい最中に追加で作っていた。

木乃香のスイーツに関しては木乃香・のどか・茶々丸・明日菜の四人で作り続けているが、こちらも相変わらず販売スピードが速く行列が途切れることはない。


「追加の食材は一時間ほどで届きますわ」

「サンキュー。 まさかここまで客が来るとはな~」

予想以上の混雑に木乃香のスイーツ以外の食材が足りなくなってしまい、こちらも先程雪広グループの方から追加で仕入れを頼んでいる。

もう少し店に余裕があれば横島が自分で買いに行くのだが、残念ながら今日はそんな余裕はなかった。


「なんか麻帆良祭の時みたいね」

「そうやな~」

そのまま次々に舞い込むオーダーに厨房はフル回転で対応していくが、千鶴と木乃香などは忙しい厨房でも割とマイペースで麻帆良祭を思い出し懐かしんでいる。

実は横島自身も木乃香達やフロアの夕映達が、楽しく仕事を出来るようにと密かに気を遣っていたのだ。

流石におしゃべりに夢中になって調理が疎かになるのは困るが、調理に支障が出ない範囲では雑談やおしゃべりは横島自身もするようにしていた。

基本的に横島自身が堅苦しいのや厳しいのが嫌いなので、人に対しても厳しくすることはしたくないようである。

実際のところ人の緊張感や集中力はさほど続く訳ではないし、厳しくしたからといって中学生の少女達の場合はさほど生産効率が上がる訳ではない。

ならばいっそ楽しい雰囲気で仕事をした方がいいだろうと横島は思うようだった。

まあ楽しい雰囲気でモチベーションを保ちつつ生産効率を上げるなんてことも横島ならば可能だし、要点やポイントを時々教えるだけで木乃香達が自発的に学ぶので横島の負担はさほどある訳ではなかったが。


「麻帆良祭か~。 タマモがこの前ケーブルテレビの麻帆良祭特集見て楽しみにしてるんだよな」

「大学部の早いところだとすでに来年の計画を立ててますわよ」

その後も忙しい厨房では何故か麻帆良祭の話題で盛り上がり、来年はどうなるのだろうとの話に華を咲かせていた。



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