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平和な日常~秋~2

この日の店は開店当初から賑わっていた。

通常ならば朝は朝食を食べに来る客が来る程度なのだが、開店前から数人だが客が並んでいたことは初めてのことである。

例年ならば料理大会優勝者のスイーツは人気が出るので、開店を狙う客が居るらしい。

最も横島の店は開店時間が適当なので、おおよその開店時間に来たらしいが。


「いらっしゃいませ。 料理大会出品スイーツは、本日一人様五個までになってるです」

そんなこの日フロアで接客していたのは、夕映とさよとタマモだった。

横島・木乃香・のどか・明日菜の四人は厨房で調理の真っ最中である。

開店と同時に面白いように売れていく木乃香のスイーツだが、過剰なまとめ買い防止の為に購入数に制限をかけていた。

なお入口の横にあるスイーツ用ショーケースでスイーツの持ち帰り販売をしていたのは夕映であり、さよとタマモは店内のフロアを担当している。

そしていつもはフロアの明日菜は今日は厨房に回っており、彼女は地下の食料庫から食材を運んだりケーキの持ち帰り用の箱を組み立てたりと雑用で忙しい。


「おはようございます」

「マスターおはよう!」

その後開店して一時間ほど過ぎて朝食を食べに来る客が来出した頃になると、茶々丸と美砂・円・桜子の三人がやって来る。


「突然悪いな。 バイト代弾むから頼むわ」

茶々丸と美砂達四人は臨時のアルバイトだった。

茶々丸は調理の助っ人で、美砂達には雑用とフロアでの接客を頼むと言ってある。

昨日横島と木乃香達で話し合った結果、四人に臨時バイトを頼んでいたのだ。


「任せといて!」

早朝から元気な美砂達は、エプロンを付けるとさっそくフロアと厨房に分かれ仕事を始めた。

ここでも麻帆良祭の経験が生きており、彼女達はちょっとやそっとの混雑など問題でない。


「和定食三人前出来たぞ」

美砂達が来ると全体的には余裕が出来たが、厨房は結構大変だった。

木乃香のスイーツを大量生産しているが、同時に通常の喫茶店のメニューも熟しているからだ。

まあそれでもこの日の主力が木乃香のスイーツであることには変わりなく、厨房のメンバーはひたすら作るのみである。


「二人ともペース配分を考えてな」

「大丈夫や」

「はい、わかりました」

基本的に横島は通常のメニューやスイーツを主に作りつつも、木乃香のスイーツも作っている。

開店してすぐに木乃香のスイーツは次々に売れ始めるが、同時に通常のスイーツもいつもと桁違いのスピードで売れていたのだ。

スイーツを求める客はほとんど木乃香のスイーツを求めて来たが、一緒に通常のスイーツも買っていく人が結構多かった。

結果的に横島は通常のスイーツや、朝食などの普通の喫茶店のメニューも平行して作っている。

ただスイーツ作りは見た目以上に大変なため、木乃香とのどかの様子を見ながら休ませたりもしなければならない。

横島達にとっては体育祭よりも大変な一日が始まったばかりだった。



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