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新しい生活

「ワッシは……」

迷いや自信の無さから言葉が出ないタイガーに、エミは厳しい視線を向ける


「タイガー、おたくも十分成長してるわ。 いい加減自分の実力に誇りを持ちなさい! それが無理ならGSを諦めた方がいいワケ」

エミの厳しい言葉に、タイガーはうなだれるだけで何も言えない

そんなタイガーの性格に一番悩んでるのは、他ならぬエミだった


タイガー自身、今では昔と違い自分の力もコントロール出来るようになっている

それに女性に対しても、日常生活で関わる範囲なら問題無い

能力的にも個人的にもタイガーは格段に成長しているのだ

しかし持ち前の優しさと優柔不断さが、タイガーの更なる成長の邪魔をしている現状にエミは頭を悩ませていた


「エミさん…、ワッシはGSになれないんじゃろか」

「タイガー、おたくは横島や雪之丞のようになるのは無理なワケ。 あの二人は一種の天才なんだから。 でもね、おたくにしか出来ない事もあるわ。 自分のスタイルに自信を持ち磨きなさい」

あまりに落ち込み諦めそうになるタイガーに、エミは仕方なく優しく話す

しかし、結局タイガーが自分で精神的な強さを手に入れないうちは無駄なのだ

この日、結局GS試験の話は全く進まないまま話がうやむやになって終わる



そして雪之丞がGS試験に再挑戦することが決まった数日後

エミは珍しく魔鈴の店に来ていた


「単刀直入に話すワケ。 しばらくの間タイガーを預かってもらえないかしら?」

突然訪れたエミの話に、魔鈴と横島は不思議そうにエミを見つめる

そもそもエミが他人を頼る事態が珍しいのだ


「あの、まずは理由を教えて欲しいのですが…」

「タイガーにGS試験を受けさせようと思ってるの。 でも今のままじゃ、タイガーはGSになるのは無理なワケ。 精神的に弱すぎるわ。 ここには横島も居るし、雪之丞もよく来るんでしょ? 思いっきりしごいて欲しいワケ」

困惑気味の魔鈴に対し、エミはストレートに事情を話していた

魔鈴に対しては令子のように変なライバル心も無く、横島とタイガーが友達な事もあり適任だと判断したようだ


「精神的な問題は難しいですからね…」

エミの話に魔鈴は、難しい表情で考え込む
 
タイガー自体良く知らないし、そもそも精神的な問題はデリケートなため簡単に引き受ける訳にもいかない

まして師匠のエミが悩むほどの問題を、第三者の自分達が万が一悪化させでもしたら大変な訳だし


「そういえばタイガーの時給っていくらなんです?」

「昔おたくに出した条件と同じよ。 年俸2000万にマンションを付けてるわ」

「マジッ!?」

ふと前からの疑問を尋ねる横島だが、エミ答えに信じられないような表情で驚く

そもそも前の横島と同じような貧乏なタイガーが、年俸2000万とは信じられなかった


「なによ、危険な仕事なんだし当然の金額なワケ。 最も、給料の8割は積立してるけど…」

エミはあまりに大袈裟に驚く横島に少しムッとした表情で説明を始める


「普通の事務所はどこでも積立はやってるワケ。 万が一後遺症の残るケガとかしたらそれが退職金になるし、独立するなら開業資金になるわ。 GSなんて危険な仕事の開業資金を銀行が担保も無しに貸す訳無いでしょ。 まあ、普通は給料の5割くらいを積立するんだけど…」

当然のように説明するエミの話を、横島は唖然とした表情で聞いていた
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