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平和な日常~秋~2

最終的に順位を押し上げた要因は、木乃香達料理大会組と格闘大会での古菲の優勝だった。

料理大会や格闘大会は優勝難易度の高さから相当高いポイントだったらしい。

総合三位は中等部では史上最高タイ記録であり、麻帆良祭の順位もあり2-Aはお祭りやイベントに強いクラスとして名が知られることになる。


さて乾杯をして2-Aの打ち上げが始まると、横島は他の保護者に勧められるままにビールを飲み一息ついていた。

隣ではタマモが打ち上げの料理を美味しそうに頬張っている。

保護者に関しては七割ほど集まっており、遠方からの生徒を考えるとかなり多い方だろう。


「しかし木乃香が料理大会で優勝するとは……」

「運がよかっただけや」

保護者が来ている少女達はそれぞれに体育祭での活躍を保護者と話していたが、人一倍感慨深げだったのは木乃香の父詠春である。

木乃香は本人は運がよかったからだと言い切るが、実際運がよかったのも確かだが幸運を呼び込んだのは木乃香の実力でもあった。

複雑な立場の木乃香が普通の女の子として活躍する様は、父にとってはなによりの朗報のようだ。



「あっ、花火が始まるわよ」

そんな親子や友人同士での話に華を咲かせる一同だったが、日が暮れると花火大会が始まった。

打ち上げ会場は有料席だけあって花火を見るには絶好のポイントであり、打ち上げ花火から仕掛け花火までよく見える場所である。

タマモが間近で見る花火のあまりの迫力にビクッと驚くことなどあったが、闇夜に輝く花火の光景に食べるのも忘れて魅入ってしまう。


「すごいね!」

驚き目を見開いて見ていたタマモがようやく声を上げたのは、最初の花火のプログラムが終わった時だった。

周りの人々の拍手や歓声に我に帰ったタマモは興奮した様子である。


「花火はやっぱり生で見るのが一番だからな」

「こんなにおっきいとおもわなかった!」

喜びはしゃぐタマモの姿に周りの人々は自然と笑顔になっていた。

そのまま何人かの少女がタマモと一緒に騒ぎ出すが、そんな彼女達も再び花火が上がると静かになり魅入ってしまう。


(一瞬の光か……)

みんながそれぞれに体育祭で頑張った少女達は、ほとんど満足そうな笑顔で花火を見ていた。

今日もきっと彼女達の忘れられない思い出になるのだろうと思うと、横島は素直に自分も幸せなのだと感じる。

何より彼女達にとって今日という日は花火のような一瞬の煌めきの一部なのだろうと思うと、少し羨ましい気もしたが。


そのまま花火と打ち上げは続いていき麻帆良学園の生徒が作った創作花火が上がったり、大学部のサークルが考えた仕掛け花火が上がったりと花火大会も盛り上がっていく。

中には失敗した創作花火などもあり人々の笑いを誘うなどあったが、それはそれで盛り上がっていた。

打ち上げ自体は保護者が居るからか2-Aの少女達にしては大人しい部類に入っていたが、盛り上がったことには変わりない。

結局花火大会が終わった一時間後まで、賑やかで楽しい打ち上げは続くことになる。



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