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平和な日常~秋~2

二日に渡った体育祭は終わり、麻帆良の街は後夜祭と花火大会に移ろうとしていた。

横島達は一端自宅に戻り浴衣に着替えていたが、横島は何気なく確認した店の留守電の数が十五件を越えていたことに驚きつつも内容が全部木乃香のスイーツ絡みだったので明日でいいかと放置する。


「タマモ。 ハニワ兵はともかく、うしさんは置いていこうな」

一方のタマモはさよとハニワ兵に手伝って貰いつつ浴衣に着替えていたが、右手にはハニワ兵を左手には以前木乃香達が遠足で買って来た牛のぬいぐるみを抱えていた。

どうも一緒に連れて行きたいらしいが、ハニワ兵はともかく大きな牛のぬいぐるみは少々邪魔になりそうである。


「いっしょがいい」

「……まあいっか」

一緒に行くと言ってなかなか譲らないタマモに、最終的には横島が折れて持っていくことを承諾した。

うしのぬいぐるみは2-Aの少女達から貰った物であり、タマモが喜んでる姿を見せるのもいいかと考えたらしい。

ちなみに牛のぬいぐるみとハニワ兵も何故かタマモとお揃いの浴衣風の衣装を着ている。

横島は知らなかったがタマモはさよやハニワ兵と、前からみんなで一緒に浴衣を着て花火に行こうと約束していたのだ。

その結果ハニワ兵が牛のぬいぐるみと自分用の浴衣を作ったようである。


「うわ~、ぬいぐるみに浴衣着せたん?」

「よく出来てるわね」

着替えも終わり木乃香達と合流する横島達だが、当然タマモと浴衣を着たぬいぐるみは目立ってあた。

しかもハニワ兵が丁寧に作ったらしく、ぬいぐるみとハニワ兵の浴衣の出来も結構いいのだ。


「みんなではなびを見にいくの!」

木乃香達に褒められたのか嬉しいのか、ニコニコと満面の笑顔で歩くタマモは本当に幸せそうだった。

花火大会のメイン会場である麻帆良湖畔に向かう横島達だが、タマモは何人もの知り合いに声をかけられては笑顔で答えていく。

僅か数ヶ月でタマモはすっかり有名人と化している。



なお今年の2-Aの体育祭打ち上げの場所は、花火大会の有料席に決まっていた。

横島が持っていた有料席のチケットに雪広家と那波家が持っていた有料席のチケットで2-Aの少女達とその保護者の人数分が軽く揃ったらしい。

ちなみに一般的に体育祭の打ち上げは保護者と一緒の場合が多く、場所の確保も結構大変だったりする。

一番楽なのは飲食店などでの打ち上げだが、団体で予約が取れるのは数が限られており大半は世界樹前広場などのイベント会場や学校の校舎などであった。

花火大会会場にも結構な団体が流れて来るが、流石に有料席で打ち上げをするのは資金力のある大学部などくらいである。


「それでは体育祭の成功と、学園全体でのクラス別順位が三位に入賞したことをお祝いして乾杯しましょう」

最終的に花火大会会場で2-Aが打ち上げを始めたのは、辺りが薄暗くなって来た頃だった。

体育祭の順位も決まり、2-Aは総合クラス別順位で三位に入賞する大健闘をしている。

総合順位での三位入賞は女子中等部では史上初の快挙で、今年の中等部ではトップだった。



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