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新しい生活

「本当にいいのか? 俺は別に免許なんか無くても生きて行ける」

迷いながら複雑そうな表情で語る雪之丞だが、生きていくだけならGS免許が無くても生きていく自信はある

しかし、亡き母親に誇れる生き方をしたいと言う気持ちも強い

純粋に強さを求める気持ちは今も昔も変わらないが、戦う力以外にも強さがあることなどとっくに理解しているのだ


そんな雪之丞にとってGSとして正々堂々と生きたいという気持ちは、前から密かにあった


「免許は構いません。 雪之丞さんの実力は良く理解してますし。 まあ、事務所を開くならいろいろ問題があるとは思いますが、その辺りは私が多少なら指導出来ますしね。 ただ、雪之丞さんの実力に見合う給料は難しいかもしれません。 それほど大きな仕事は受けませんので、今までと同じように歩合になりますが…」

迷う雪之丞に対し魔鈴は、免許の問題は一切気にしてなかった

ただ雪之丞の場合は、免許を取得してもすぐに事務所を開くのは無理だと魔鈴は思っている

圧倒的戦闘力は問題無いのだが、その半面戦う以外があまり得意ではない

横島同様に知識も少なく、多種多様な仕事があるGS事務所を経営するのはまだ未熟すぎるのだ


魔鈴の心配はそんな雪之丞の免許取得後である

戦う以外は自分が力になれるが、問題は一流の雪之丞に見合う給料を払えるかわからないこと

年に何度か忙しい時期は忙しいが、暇になればあまり仕事は無いのだ

もちろん仕事に見合う給料は払うつもりだが、雪之丞の実力を考えると少ないと思っていた


「金は任せる。 正直、今でも金には困ってないからな。 じゃあ、済まないけど頼む」

魔鈴の様子を見た雪之丞は不器用に頭を下げる

どんな顔して頼めばいいかわからず、少し困ったように頭を下げるその姿は雪之丞らしい姿だった


「では、次のGS試験に申し込みをしておきますね」

不器用に頭を下げる雪之丞を見た魔鈴と横島とタマモは、思わず笑みが浮かんでしまう

一見らしくない姿に見えるが雪之丞もまた成長している証だと思った


この日、雪之丞のGS試験への再挑戦が決まる



そしてこの日より一週間ほど前、小笠原エミGSオフィスでも似たような話をしていた


「タイガー、おたく次のGS試験受けなさい」

仕事の合間、突然タイガーに次のGS試験を受けるように告げるエミだが、肝心のタイガーは相変わらずはっきりしない

タイガーがはっきりしない理由は大きく分けて二つある

一つは先日の卒業パーティーの件以来、魔理との仲が微妙になっていること

タイガーと魔理はあの後も会っているのだが、お互い微妙にギクシャクしている


それと言うのも、魔理はあの後から霊能関係の話を全くしなくなっていた

悩み答えの見つからない苦しみを、タイガーに見せないように隠していたのだ


タイガー自身も気にはなるのだが、自分からあの日の話には触れずられにいるため、お互い相手を気遣いつつ微妙な感じになっていた


そしてもう一つの理由は、タイガーはGSになる自信が全く無くないのだ

タイガーの周りに居るのは、一流のGS達や横島やピートや雪之丞…

ある意味レベルの高すぎるメンバーに囲まれているため、自分がGSになれる自信など全く無かった

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