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平和な日常~秋~2

その後いよいよ横島はミニ四駆大会の決勝に挑むが、決勝は工学部の人間らしく大学部のミニ四駆サークル所属である。

どうも自作したミニ四駆で参加したらしく横島同様に余裕を持って勝ち上がって来たらしい。

その結果試合自体は驚くほど接戦になってしまうが、最終的にはセッティングの差だけでなんとか勝利する。

正直相手も全国大会優勝レベルだったことは、横島ですら驚く結果だった。


「やったー! いちばんだ!」

そして横島のミニ四駆大会優勝で喜んだタマモは、よほどうれしかったのかボンボンを持ったまま横島に駆け寄りおもいっきり抱き着く。

そのあまりの喜びように昨日から微妙な様子で横島を見ていたミニ四駆サークル関係者の表情も緩み、あちこちからは拍手が沸き上がる。

実際女子中高生やミニ四駆をあまり知らない者ばかりが集まって来ていた横島の応援と、ミニ四駆関係者の温度差は終始あったがこの時ようやくそれが解消されたかのようだった。

最後に優勝者と入賞者は写真を撮るのだが、横島はタマモと一緒の写真に写ってしまいまるで満面の笑顔のタマモが優勝したような写真になる。本来は優勝者が一人で写るはずなのだが、可愛いからいいだろうと記録係の生徒はそれを優勝者の写真として記録に残してしまう。

結果的に麻帆良の名物マスターが今度はミニ四駆大会で優勝したとの情報が広まり、新たな噂の根源になるが今更なことだった。


「マスター終わった!? ちょうどよかった! 一緒に来て!!」

試合後は写真撮影をした横島の元には応援に来てくれた者や、ようやく妙な対立が解消したからかペガサスやプテラノドンXを見たいとのミニ四駆関係者が集まって賑やかになっていたが、突然走って来た中等部の女の子に引っ張っられるようにその場を後にする。

あまりに強引な女の子にミニ四駆関係者はペガサスやプテラノドンXを見せて欲しいと横島を連れだそうとする女の子と口論になりかけるが、横島が今度ゆっくり見せるからと約束して美砂達などの応援に来た者達と一緒に言われるがままに移動した。


「はい、これ着て!」

「これって野球のユニフォームか?」

「女子中等部の保護者チームが決勝まで残ったんだけど、急遽人数が足りなくなったの! お願い!」

横島達が連れて来られたのは結構立派な野球場だった。

しかも横島は到着されると理由を説明する暇もなく着替えさせられるが、どうやら人数が足りなくて急遽出られる人を探してたらしい。

何人かの保護者に頼んだのだが試合が決勝だったことからほとんど尻込みしてしまい、最終的にそろそろミニ四駆大会が終わるだろう横島に話が来たようである。


「やきゅうってなに?」

「ボールを投げたり打ったりするスポーツだよ」

「じゃあおうえんしなきゃだめだね!」

結局横島の意思とは関係なくメンバーに決められてしまい、横島はなし崩し的に野球の試合に出ることになった。

その結果タマモはまた応援しなきゃダメだと燃えてしまい、美砂達と一緒にミニ四駆大会会場から一緒に来た応援とまた応援を始めてしまう。


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