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平和な日常~秋~2

そしてミニ四駆会場ではさっそく競技が始まっていたが、タマモは始めて見るチアリーダー姿の美砂達に興味津々な様子であった。

横島は出番前でミニ四駆のセッティングをしているし、タマモは暇だったのだ。


「かわいいふくだね」

「そうでしょ! これは応援する服なの」

流石に美砂達も横島以外の者が試合中はそれなりに大人しく、興味津々な様子で目を輝かせていたタマモにチアリーダーについて教え始める。

若干アバウトな説明だった気もするが、可愛い服を着て応援すると聞くと素直に凄い感心してしまう。


「タマちゃんも一緒にやろうよ!」

そのままカラフルなボンボンを持って応援する姿を少し羨ましそうに見つめていたタマモだが、桜子は予備のボンボンを渡して一緒にやろうと誘う。

流石に衣装は無理だが、小さいタマモならばボンボンだけでも十分可愛かった。

しかも桜子は簡単な動きまで教えて自分達の動きと合わせるつもりらしい。


「がんばれー!」

その後いよいよ横島の出番になるが、美砂達の前でボンボンを持って一緒に応援する姿のタマモに会場の注目が集まる。

タマモはただ応援したい一心で頑張ってるのだが、やはり試合よりもタマモが注目を集めてしまう。

ただタマモ本人は何故そんな状況になるか全く理解出来ないようで不思議そうな表情を見せるが、横島のミニ四駆が走り出すと応援に力が入る。


一方応援に食われた横島だったが、本人気にする様子もなくタマモの応援に嬉しそうに手を振って答えていた。

必死に応援するタマモに、なんとなくGS試験の時のおキヌを思い出し思わず笑ってしまうが。

ちなみに肝心の試合の方だが、こちらは全く危なげなく勝って決勝に進出する。

特徴の違うペガサスとプテラノドンXの二台をコースに合わせて使っている為、ある意味順当な勝利であった。

結果準決勝を勝ち大人げなく子供のように喜ぶ横島だが、本当に悔しそうに見つめる対戦相手の小学生とその父親と目が合う。


「いや~、君強いね。 しかも懐かしいミニ四駆だし」

「俺も小学校の頃に散々親父に鍛えられたんっすよ。 子供の俺より本気になってましたから」

そのまま対戦相手の父親から声をかけられるが、横島はそんな対戦相手に父である大樹の姿がダブって見えた。

幼い頃から遊びにも全力を出すような父親だった大樹は、横島や友達の銀一達などの子供達を集めてはミニ四駆について熱く語り改造やセッティングについて教えていたのだ。

横島が全国大会に進出した時も会社の有給休暇を取り、銀一達まで自腹で一緒連れて全国大会に行った。

今思えば子供だった自分達と一緒に楽しんでいたのだろうと思うと感慨深いものがある。


「君の親父さんの気持ち分かるな~。 つい本気になっちゃうんだよ。 決勝頑張ってくれ」

横島に決勝も頑張って欲しいと告げると、次があるさと息子を励ましながら去る親子が横島は少し羨ましかった。



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