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▼狐の夢・第3話の弐

『ア……ア…、ゴ主…人……早…ク…帰…キテ……』
『ゴ……主人…オ家……、守……レ…ナ……』

その瞬間、横島の頭の中に魔物の言葉とともにあるイメージが流れ込んできた。

小学生くらいの少年に拾われた子犬。
一緒に遊んで一緒に昼寝をして散歩にも一緒に行って…

「小次郎は連れて行けないんだよ」
そんな声と少年の寂しそうな顔。
そして出かけたきり帰ってこないご主人たち。


横島は全て理解できた。

この魔物は自分が置いていかれたことがわからず、ただひたすら主人の帰りを待っていただけなのだ。
来る日も来る日もただただ主人を待ち続け、そして主人の家をただひたすら守り続けているだけ。
自分が死んでしまっている今もなお…

それが分かった横島は『栄光の手』を出現させ、この犬の魔物の背中に撫でるように手を置いた。
しかし美神からは『栄光の手』で取り押さえたように見えたのだろう。

「でかしたわ横島クン。そのまま抑えてなさいっ」と叫ぶ。
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