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平和な日常~秋~

次の日になりいよいよ体育祭当日、麻帆良の街は早朝から賑やかであった。

横島も前日から明日までの三日間を休みにしており、この日もゆっくりとした朝を迎えている。

数週間前に夏野菜と入れ替わりに植えた野菜の畑に水をやり、タマモ・さよ・茶々丸と一緒に猫達を連れて早朝の散歩に出かけていた。


「たまにはゆっくりと朝の散歩も気持ちいいな」

「うん、きもちいい」

猫達に囲まれながら散歩する横島達は、近所の人々や早くから学校に向かう中高生と挨拶しながら街を宛てもなく歩いていく。

体育祭の開会式は午前九時からだったが、競技によって開始時間は違うので早い生徒はすでに登校してるらしい。


「茶々丸ちゃんは見学なんか」

「ガイノイドである私が必要以上に目立つのは好ましくありません」

散歩中の話題は体育祭なのだが、茶々丸は競技には参加せずにみんなの応援に回るようだ。

茶々丸自身はガイノイドとしての当然の判断だと言うが、実際のところ茶々丸は街の人気者として有名である。


(うーん、突っ込むべきか流すべきか)

茶々丸は真面目に考えているが、すでに街の人気者になってる時点で目立っていることを突っ込むべきか横島は悩んでしまう。

意外と天然なんだよなと考えつつ、横島は結局突っ込めないまま話を流していた。


「さよちゃんは夕映ちゃん達と謎解きクイズラリーだっけ?」

「はい! 運動が苦手なんで誘ってくれたんです」

そんな茶々丸に続きさよの出場種目に話は移るが、さよは夕映やのどかやハルナと一緒にクイズラリーに出場するのだ。

謎解きクイズラリーは麻帆良市内の至るところに隠されてる、謎解きやクイズを解答しつつゴールを目指す種目らしい。

これはどちらかと言えば体育祭の種目ではないのだが、文系の人々には人気の種目らしくゴールするだけでも難しいと夕映は語っていた。


「間違って空飛んでも困るからな~」

運動が苦手だと語るさよに横島は苦笑いを浮かべるが、その原因は長い間幽霊だった影響である。

実体を持つのは約半世紀ぶりなのだから、普通に歩くだけでも新鮮であり走ったり複雑な運動するのは苦手で当然だった。

早い話がさよは走るよりも空を飛ぶ方が楽なのである。

元々のドジな面もあるし、さよが運動系種目に出場しなくて横島は内心でホッとしていた。

実際には元々身体が弱いというさよに無理をさせないようにと、夕映とのどかが体力的にはキツくない謎解きクイズラリーに誘ってくれたらしい。


「最近はタマモちゃんとハニワさんと一緒に、クイズの勉強してたんですよ」

「くいずはむずかしいけど、がんばったんだよ」

結果的に謎解きクイズラリーに参加することになったさよだが、木乃香が料理を特訓する頃さよはタマモやハニワ兵と一緒にクイズをやっていたようである。

どうもハニワ兵が先生役になりクイズを出したり、クイズ番組を見たりして勉強したようだが横島がどこか不安になったのは気のせいではないだろう。

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