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平和な日常~秋~

木乃香の最終的な順位についてたが、三位で見事に準決勝進出している。

予選参加者は百二十人だったことから、木乃香は大健闘したと言えるだろう。

ただ事前情報としての木乃香の評価は実力以上に高くなっており、昨年の超鈴音に続く中学生チャンプかと話題にもなっていた。

その原因はもちろん横島にあり、少し前の麻帆良スポーツの麻帆良祭特集で横島の弟子として注目選手にされていたことが影響している。

元々店のスイーツの評価が高いこともあり、必然的に木乃香の評価も実力に関係なく上がってしまったのだ。

結果今回の予選三位は木乃香の実力では大健闘なのだが、世間一般から見ると順当な成績だと見られていた。


「料理大会組と古ちゃんは無事予選通過か」

そしてこの日の予選の結果だが、超・五月・古菲の三人も無事に予選を通過している。

その結果予選通過をお祝いしてまたもや横島の店でパーティーをしようという話になり、2-Aの少女達と横島と高畑と詠春で2-A基準ではささやかなパーティーをしていた。


「えっ……、高畑先生と木乃香のお父さん友達なの?」

「詠春さんには若い頃随分お世話になっていたんだよ」

パーティーというか例によって騒ぎたいだけの一同だったが、予想外のことに驚きの声が上がったのは高畑と詠春が友人だと発覚したからだろう。

どうやら木乃香も知らなかったらしく驚いているが、高畑も詠春も友人であることをまで隠していた訳ではなくたまたま話す機会がなかっただけのようだ。


「あの人が近衛詠春か」

「まさか長が麻帆良に来られるとは……」

「あの情報以降、蜂の巣を突いたような騒ぎはどこも同じだよ」

一方詠春を離れは場所から興味深げに見つめていたのは、刹那と一緒にいる龍宮だった。

どうやら龍宮も詠春と会ったのは初めてらしい。

あまり事情を知らない刹那は詠春が敵対地とも言える麻帆良に来たことに驚きを隠せないが、龍宮は割と冷静であり何かしらの事情は知ってる様子である。


「確かにあの情報が確かならば東西で争ってる場合ではないが……」

長く実戦を離れてるとはいえ、詠春の存在感や実力は見る者が見ればわかるものだった。

そして長く不仲だった東西の魔法協会のトップが突然相手の本拠地にやって来たのだから、今まで密かに協力してきた東西の関係を知らない末端の者からすると驚愕の出来事であろう。

実際驚きの声は刹那のみならず多く上がっていたが、相手が魔法世界の英雄でもある詠春だという点から批判めいた声はほとんどなかった。

東西に別れてはいても相手は同じ日本人であり、詠春は日本の魔法関係者の誇りとも言える存在なのだ。

独立以降何かと嫌がらせ紛いの行動が多いメガロメセンブリアよりも、確実に信頼されてる人間なのである。

年配者を中心に関西呪術協会にいい印象があまりない者もいるが、詠春に悪い印象を持つ者は驚くほど少ない。

実際麻帆良の独立や詠春の関西呪術協会のトップに就任などの影響で、東西の実質的な争いは現在ではほとんどない訳だし。


ただ関西を知る刹那としては少し衝撃的な出来事だったようである。



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