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変わりゆく日々

そして時間は過ぎていき放課後になっていた

校舎の内外で部活動をする生徒達を横目に横島は学校を後にする

都立高校である横島の学校はさほど部活動が盛んな訳ではないが、それでも大半の生徒が部活動に参加していた

横島も入学当初は女の子目当てに何かの部活動に入るつもりだったが、両親の仕送りの額の少なさに諦めた過去がある

バイトをしないと生活が苦しいため、部活動に費やすお金と時間がなかったのだ

結果的に一年の春から美神事務所でバイトを始め、一年ほどで辞めて現在に至るが……


(あの時、美神さんに会わなかったら俺どうなってたんだろ)

校庭で部活に汗を流す者達を見つめた横島は、ふと令子と会わない未来を考えてしまう

横島にも前世からの因縁はあるが、アシュタロスに狙われてるのは令子だけであり横島自身が必ずしも巻き込まれるとは限らないと思うのだ


(そういやあ美神さんの事務所辞めようって、何度も考えたっけな)

令子と離れて十年が過ぎた横島は、ふと当時の事を思い出すと懐かしさと複雑な気持ちが蘇る

横島自身は当時何故あれほど令子にこだわったのか、今では理解出来ない事だった

社会人として何年も経験した今の横島では、令子にこだわった当時の気持ちが全く理解出来ない


(若かったんだろうな。 しかしそれだけ美神さんが上手く俺を使ってたって事か)

色香を上手く使い当時の横島を令子がコントロールしていた事など、横島はとっくに気付いている

結局騙された自分が馬鹿だったんだと考えると、横島は無償に悲しくなる気がした


(あの当時の事なんて思い出す事なかったのにな……)

未来において横島が美神事務所時代を思い出す事はほとんどなかった

全て終わった事だったし、魔鈴やタマモやシロの存在もあり毎日が充実していたせいもある


(この時代の俺の感情か? それとも懐かしい高校に来て昔を思い出してしまうからか?)

過去に来て学校に通って以来たまに美神事務所の頃を思い出すようになった横島は、その理由を考えるが自分でも分からない


(別の人生なんて考えられないけどな~ ただオカルトに関わらない人生ってのはどうなのかは気になるな)

横島は別に令子に未練や興味がある訳でも魔鈴に不満がある訳でもないが、普通に生きるクラスメート達を見ると自分がオカルトに関わらない未来が気になる事は確かだった



「また失敗した!」

いろいろ考えながら学校を出て歩いていた横島だったが、商店街のゲームセンターの前で見慣れた机を背負った少女が見える

彼女は店頭のUFOキャッチャーの前で数人のクラスメートと何かを騒いでいた


「よう、何してんだ?」

「横島君じゃない。 あれが欲しいけど取れないのよ」

クラスメートの女子がどうも狙ってる景品があるらしく挑戦してるが、なかなか取れないらしい

机を背負った愛子も挑戦したがダメだったようだ



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