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平和な日常~秋~

「やっぱり上位に食い込むためには出場種目が少ないわね」

一方2-Aの教室では応援グッズを制作してるグループは、クラス単位での順位の予測をしていたが結果はいま一つであった。

体育祭の場合は麻帆良祭と違って、個性的な2-Aの面々でも決して有利とは言えない。

麻帆良学園には中等部からスポーツ専攻の学科もあり、体育祭はどちらかと言えば彼らに有利である。

まあ運動以外の種目も多いので一概には言えないが、技術や芸術系の種目や大会はどうしても大学部や高等部が有利になってしまうのだ。

学園全体の順位を決めるポイントはそう言った年齢の違いによる差を出来るだけ減らすようになってはいるが、2-Aの場合でも出場種目数が足りない様子であった。


「やっぱり保護者の出場が足りないんじゃない?」

情報分析と順位予測は朝倉とあやかなど数名が行っていたが、2-Aに足りないのは保護者の参加者らしい。

保護者の参加に関しては麻帆良学園は積極的に勧めてはいるが、実際には小等部が一番多く年齢が上がるに従って下がっていく。

通常の学校だと中高になると運動会や体育祭は保護者は出場しない場合が多いが、麻帆良学園では遠方からの寮生も多いことから体育祭や麻帆良祭などのイベントへの保護者の参加を勧めていたのだ。

ただ体育祭の順位は別に賞金や賞品が出る訳ではないので、正直高等部くらいになるとあまり熱心でない者も多い。


「ねえ、もしかしてさよちゃんの保護者ってマスターなの?」

「えっ!? あっ、はい。 私は両親とか親類が居ないので、横島さんが多分保護者になってると思いますよ」

体育祭のポイント稼ぎに出場出来る保護者を探す少女達だったが、朝倉は応援グッズを作ってるさよが視界に入るとふとさよの保護者は誰だろうと考える。

タマモの件もあるし案外横島が保護者になってるならば体育祭に出場してくれるのではないかと、期待を込めて尋ねるとさよの答えは朝倉の予想通りだった。


「ならマスターに出てもらえるじゃん。 でもお店あるのかな?」

「店は休むようですよ。 世界樹広場での屋台の出店も断ったようですし。 体育祭の出場はわかりませんが」

足りない分を横島に出てもらえないかと盛り上がる少女達は当日の予定を夕映に尋ねるが、どうやら横島は体育祭期間を完全に休みにしたらしい。

実は納涼祭の実績から世界樹前広場にて有名サークルや超包子と一緒に屋台を出さないかとの誘いを受けたが、今回こそはきっぱりと断っている。

横島からするといい加減ゆっくりと見物や応援に回りたいのだが、どうやら今回も横島は振り回される運命のようだ。


「でもマスターって運動大丈夫なの? あんまりぱっとしないイメージなんだけど」

「そういえば海に行った時のビーチバレーもイマイチだったっけ?」

とりあえず参加種目を増やす為に本人の了解なく参加を前提に話は勝手に進むが、問題は横島を何に出場させるかだった。

一般的な横島に対するイマイチとして横島が運動が得意だとのイメージはあまりない。

実際に横島が運動したのは一緒に海水浴に行った時だけだったが、その時は高畑や明石などの教師陣より下手な感じだったのだ。


「いっそ運動以外にしてはどうでしょう? ほぼ大学部しか出場しませんが、例えば素人でも出場出来るドラッグレースとかもありますよ」

横島の参加種目を勝手な悩む少女達だが、流石に料理大会への出場を言い出す者はいなかった。

そもそも料理大会は学生と素人のための大会であり、保護者のプロ参加は禁止である。

一応保護者もプロでなければ参加は可能なのだが、横島が出れば問題になるのは目に見えている。

横島本人は素人だと言い張るが、誰も素人だとは思ってない訳だし。

その結果意見として出たのは大学部が中心の種目に出場させることだった。

そのアイデアを出したのは葉加瀬なのだが、少女達はそのアイデアに飛び付いて運動以外の種目を探すことになる。



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