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平和な日常~秋~

そして他の少女達も横島とタマモの様子を見て、日頃横島が滅多に見せない大人としての一面を垣間見ていた。

そもそも横島が他人に大人としての一面を見せることはあまりない。

厨房に出入りする木乃香達やさよは別だが、日頃の横島はどちらかと言えば周りに振り回されてる印象が強いのだ。

そんな横島がタマモと時折見せる表情は大人の男性そのものだった。

少女達にとってそんな横島のギャップは興味をそそられる対象らしい。


「そういえば、横島さんって家だとどんな感じなの?」

結局タマモは女湯に入ることになり女性陣は女湯に向かうが、脱衣所に入ると明日菜がふとした疑問をさよに投げかけていた。


「家でですか? 普段と変わりませんよ。 テレビ見ながらお酒を飲むくらいでしょうか。 あとパソコンはよく見てますけど……」

明日菜の問い掛けにさよには少女達の視線が集まるが、正直特に話すほどのことはない。

そもそも横島は夜も店を営業しているし不定休の休みも何処かに出かけるので、家でゆっくりしてる時間はあまりないのである。

夜などはタマモが寝るまではハニワ兵を含めて四人でリビングに居るが、横島はテレビを見てるかパソコンをいじってるかであった。


「マスターもよく働くわよね。 毎日だいたい十二時間は一人で店開けてるんでしょ?」

「考えてみれば結構ハードよね」

横島の私生活の話をしながら女性陣は温泉に入るが、改めて横島の日常を考えると結構大変なんだと改めて理解していた。

特に美砂達は店の営業時間を考えると働き過ぎではと考える。


「平日の日中は正直さほど混雑してないらしいので大丈夫みたいですよ。 朝とお昼のランチタイムと学校が放課後になる時間が混雑するようです。 そもそも店の売り上げを支えてるのはスイーツの持ち帰りが大半ですし」

今日は横島とは親しい者達だが、店の営業実態を正確に把握しているのはやはり木乃香達くらいだった。

美砂達の疑問に答えるように夕映は説明を始めるが、相変わらず店の売り上げはスイーツが支えているらしい。

無論日替わりメニューや麻帆良祭で提供したフレンチカレーなんかも相変わらず人気があるが、何故かスイーツが一番売れている。

ちなみに一番利益が少ないのはやはり店の客の大半である学生なのだが、そもそもスイーツが売れてる原因も中高生の客の口コミだった。



「またお外にでちゃった」

「ここは露天風呂があるのよ」

「風邪引かんようにちゃんと温まろうな~」

一方タマモは千鶴や木乃香やさよ達などと一緒に、一足先に露天風呂に行っていた。

始めて広いお風呂に来たタマモが興味津々な様子でキョロキョロしていたため、彼女達が怪我や風邪をひかないように着いていたらしい。


「もう少ししたら紅葉が綺麗だったんでしょうね」

露天風呂からは付近の山々が一望出来ていた。

温泉宿の周りは自然に囲まれており、街どころか人家のカケラも見えない環境なのだ。

時期的に流石にまだ紅葉には早く千鶴は少し残念そうだったが、タマモは久しぶりの自然に本当に楽しそうな笑顔を見せている。



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