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新しい生活

それから数時間後、一同は数ヶ所のアトラクションを周り次に何処に行くか話していた


「先生! 早く行くでござる!!」

「次はあっちがいいわね」

「ベスパちゃんも急ぐでちゅ!」

シロとタマモとパピリオの三名はアトラクションが気に入ったらしく、まだまだ元気いっぱいである


「わかった、わかった…」

さすがの横島も子供の元気にはかなわないのか、三人に少し振り回され気味に着いて行く


「私は少し休んでるから、みんなで行って来なよ」

そんな中、慣れないアトラクションに少し酔ったベスパがベンチに座り休むと言い出した


「では私も少し休んでます。 ここで見てますから楽しんで来て下さいね」

同じく魔鈴も休むことになり、横島達は四人で次のアトラクションへ向かう



残された魔鈴とベスパはベンチに座り、会話すること無く目の前を通る人々を見つめていた

特に気まずい空気ではないのだが、お互いどれだけ相手に踏み込んでいいか迷っているように見える


「ねぇ…、姉さんに会ったことあるの?」

しばしの沈黙の後、話しかけたのはベスパであった


「直接会ったことは無いんです。 私は戦力外でしたから…」

お互いに景色を見ながらの会話だが、二人の思考はあの戦いに戻っている

魔鈴もベスパも、決して満足の行く戦いでは無かった

その証拠にお互い複雑な表情のまま、会話を続けている


「とても素敵な人だったんでしょうね… 横島さんやベスパさんやパピリオちゃんを見てるとそう思います」

少し遠くを見つめるように語る魔鈴を、ベスパは静かに見つめていた


「横島も変わってるけど、あんたも変わってるね。 私達は魔族だ。 魔族に向かって素敵なんて言う人間が居るとは思わなかったよ」

あまりに自然にルシオラの事を想像して語る魔鈴に、ベスパはごく僅かだが笑みを浮かべてしまう

ベスパ自身、ルシオラの事を自然に話せる日が来るとは思わなかった

その相手が第三者の人間だと言うことも不思議である


「そういえば魔族でしたね… 忘れてた訳ではありませんが、気にしてませんでした」

ベスパの言葉に魔鈴も思わず笑ってしまう


魔鈴自身、いつのまにかルシオラ達姉妹を魔族として見る事は無くなっていた

その原因は明らかに横島だろう

横島に惹かれて行くにつれて、横島の愛するルシオラにも惹かれていたのだ


「なんとなく横島があんたを愛した理由がわかったよ。 あんたは姉さんと同じで、素顔の横島を見てるんだろうね」

魔鈴と会ってまだ僅かな時間しかたってないが、ベスパは魔鈴が素顔の横島を正確に見ていると確信する

それはかつてルシオラが横島に見出だしていた素顔と、根本的には同じなのだろうと思う


ルシオラと魔鈴

性格や容姿はまるで似てない二人だが、どこか共通する部分があるようにベスパは感じていた


「素顔の横島さんですか… 確かに誰も素顔の横島さんを見ようとしませんでしたね。 みんな横島さんを特別視してました」

ベスパの言葉に顔を赤らめてしまう魔鈴だが、素顔の横島と言う言葉には複雑な想いを感じてしまう


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