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平和な日常~秋~

十月に入り麻帆良学園の生徒は体育祭の準備や練習で忙しいが、学生である彼らはもう一つやるべきことがあった。

それは体育祭が終わった一週間後に行われる、二学期の中間テストへの対策である。

学園全体は体育祭へ向けて盛り上がるし練習や準備は必要だが、同時にテストも考えねばならないのが学生の宿命なのだろう。

特に明日菜は横島とのテスト対策で定期テストの成績を上げてはいるが、その他の小テストなんかは相変わらず成績がよくない。

まあそれでも一年の頃に比べると成績が上がってはいるが、定期テストのような成績はやはり無理だった。


「じゃ今日は数学にしようか」

連日体育祭の練習で放課後は大変は明日菜だが、その練習が終わると横島の店で疲労回復のマッサージを受けてテスト勉強も少しだが始めている。

最近は木乃香が料理大会に向けて学校以外は店に居る時間が圧倒的に増えたために、明日菜も引きずられるように店に来ているが空いた時間でテスト勉強を始めていたのだ。


「ご飯食べてマッサージ受けると眠くなるのよね」

横島に促されるままテスト勉強を始める明日菜だが、最近は体育祭の練習で体力を使ってるためかあまり集中出来てない。

しかしそれでも横島に勉強を教わらないと成績が下がるのは明らかなので、止めるにやめれなくなっていた。

高畑などの担任や教科担当の教師も成績が乱高下する明日菜を気にしており、一応解りやすく教えてはいるが成果はいま一つである。

はっきり言うと他人より時間がかかる明日菜に完全に合わせると授業の進行に影響するので、出来ることと出来ないことがあった。

それでも教師の気遣いや横島の影響で、全体的な成績は乱高下しつつも上昇傾向にある。

ただ明日菜がテストや授業について行くには、横島の協力が必要不可欠なのは確かなのだ。


「明日菜さん一緒に頑張りましょう」

「ゴメンね。 本屋ちゃんにまで迷惑かけて」

そして明日菜と一緒に勉強をしているのは、やはりのどかである。

木乃香の料理指導なんかもあり結構忙しい横島に代わり、最近はのどかが半分ほど明日菜に教えていた。

明日菜はそんなのどかに申し訳なさそうにしているが、実はそれがのどか自身の理解力を上げてる一因にもなっており、最近は超・葉加瀬・あやかに続く成績をキープしている。

木乃香や夕映と同じくクラスでは地味な方だった彼女だが、現在は頭の良さで結構目立ち始めていた。


「ねえねえ、さよちゃんとわたしでつくったんだよ!」

そのまま一緒に勉強していく二人だが、横島が厨房に行くと入れ代わるようにタマモとさよがモンブランを持ってやって来る。

木乃香が料理大会に向けて練習を重ねる最中、何故かタマモも一緒になってスイーツ作りを始めていた。

正直今はデコレーションなどの簡単な作業しか出来ないタマモだが、料理の楽しさにハマって来たのか何かを作っては明日菜達や店に居る客に見せて歩いている。


「上手に出来たね」

「本当ね。 しかも美味しいし」

改心の笑顔でモンブランを見せてのどかと明日菜に味見してもらうタマモだが、二人が美味しいといい褒めると嬉しそうに厨房に戻っていく。

横島や木乃香のように、自分もみんなに喜んでほしいと考えるタマモは料理に燃えていた。



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