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変わりゆく日々

さて午後も授業は続くのだが、横島にとって授業は退屈そのものだった

元々この時代の横島は学校の授業に着いていけてないし、未来の横島もまた学校の授業など覚えてない

横島は未来において勉強を多少なりともしていたが、内容はオカルト関係や語学などの実用的な物ばかりだった

結果的に学校の勉強は解らない部分も多く、一応この時代に来てからは最低限授業は聞いてるが突然解るようになるはずなどないのである



(懐かしくもあるけど、思い出したくない記憶も多いな)

新しい学校生活は横島にとって複雑な心境そのものだった

過去の自分と一つになった影響で卒業以来思い出す事が少なかった高校時代の記憶が鮮明に蘇ってるのだが、横島にとってあまり気持ちがいいものではない


「横島君、ぼうっとしてどうしたの? 次は体育よ」

過去と未来の記憶に埋没していた横島だったが、いつの間にか授業が終わっており次は体育らしい


「昼飯食ったからちょっと眠いだけだよ」

不思議そうに顔を覗き込む愛子に苦笑いを浮かべた横島は、体育用のジャージに着替えるために更衣室に向かうのだが

横島の僅かな変化に、愛子は何か言葉に出来ない違和感を感じたままだった



その日の体育は長距離走だったのだが、大半のクラスメートは面倒くさそうな表情である

机の本体がある愛子は基本的に体育は見学なので、愛子を除いたクラスメートは運動場のトラックを走っていくが一部の気合いが入った生徒以外は少しダレた感じだった


「そういえば美神さんの事務所でまた助手を募集してるそうですよ」

「あの人ケチですぐ楽したがるからな。 基本的に事前調査をほとんどしないんだよ。 だから何があってもいいように持っていく荷物が多くなるんだ」

数名のクラスメートが先頭を走って行く中、横島はピートと共に後ろの辺りで話をしながら走っている

横島もそうなのだがピートもあまり目立ちたくない為に、わざと力を押さえて体育をしていた

周りのクラスメートに比べて余裕のある横島とピートは世間話程度に令子の近況を話していたが、どうやら令子は新しい助手を探してるらしい


「事前調査してないんですか? しかしそれだと危険じゃあ……」

「まあな。 美神さんなら自分で事前調査も出来るけど、二度手間になるから嫌なんだと。 安い時給の助手雇って荷物持たせた方が効率がいいみたいだな」

GS業界において事前調査は当然行うのが常識だが、令子はそれをほとんど行わないのが当然だった

危険よりも利益優先の令子にピートの表情は若干引き攣っているが、ピートの反応が普通である

令子の実力ならば可能なのだろうが、そこまでしてお金が欲しいかと疑問を感じるのが一般的なGSの反応だろう


「数人の人が面接に来たみたいですけど、すぐに辞めちゃったみたいですからね。 この前僕にまでしばらく助手にならないか誘いに来てましたし……」

ピートの引き攣った表情の原因は、自分が関わった可能性があった故にリアルに恐怖したようである

結局学業を理由にピートは断ってよかったと、ホッとした表情で呟く印象が全てを物語ってるのかもしれない

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