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その一

二人は驚きと信じらんない話に興奮しながら話していた

「そりゃそうだろうな、俺も高校生になってGSのバイトするまで神や悪魔なんて居ると思わなかったしな~ ちなみに俺の師匠や仲間には神族や魔族の人もいたぞ!」


横島は普通に話したが木乃香や夕映は目を見開いて固まった

「なぜ、神様はともかく魔族と仲間なのですか?」

夕映が横島に信じらんないと言った表情で聞いた

「俺の居た世界では神族と魔族は表裏一体だったんだ。 神族が世界を守る側だとしたら、魔族は自分達の世界を作るために神族が守る世界を壊そうとする者、もしも立場が逆になれば神族が魔族の守る世界を壊そうとする、するとその世界では神族が悪魔になるんだ。 神族と魔族が全面戦争になればどちらも滅んでしまう。 だから神族と魔族が全面戦争(ハルマゲドン)を回避するために和平を結んでいたんだ。 そしてその和平(デタント)に反対する勢力と一緒に戦ったんだよ」

横島の話は木乃香や夕映の想像が出来ない世界だった

しかしそこには疑問も次々と湧いていた
「横島さんは神様や悪魔と一緒に戦ったんやろ? 人間が一緒に戦うってめっちゃすごいことなんやないの?」

木乃香は首を傾げて想像しながら話した
横島は一瞬悲しみに満ちた表情になった…
夕映や木乃香はその表情に驚き見入ってしまった

「俺は少しの力しか無かった… だけど仲間が支えてくれた。 だから戦えたんだ… 俺の仲間は今でも大切だし、誇りに思ってるよ」

横島の優しく悲しい表情に、そして重みのある言葉に夕映も木乃香も心の中が苦しくなる気がした…
それは横島の悲しみや苦しみが自分達の理解出来る範囲ではないとわかっても、それでも伝わる悲しみや苦しみは普通では有り得ないほどだった…

それなのにとても優しく暖かい笑顔をする…
二人は横島のその笑顔に悲しみに惹かれていた


「横島さん、よければまたいろんな話を聞きだいんですが…」

「うちも聞きだいな~」

夕映が遠慮がちに横島にお願いして、木乃香も聞きたいと言った

「ああ、いいよ。 いつでも遊びにおいで ただ俺が異世界の人間だって話や俺の世界の話は人には言わないでくれよ。」

横島は夕映や木乃香の話に笑顔で承諾した。

「ええよ わかった」

「わかりました。 そうします」

二人も素直に頷いた
横島の話を人に言って騒がれても嫌なので、二人も言うつもりは無かったが…


三人は
その後で一緒にご飯を食べに行って、横島の着替えなどを買い物に出かけた

服装に興味がない横島は、結局木乃香と夕映に選んでもらっていた

その後は日用品などを、二人の進められるままに買ってその日は帰宅した


夕食は木乃香と夕映が作ってくれた

「お口に合うとええんやけど…」

木乃香が笑顔で言った
ちなみに夕映は少し手伝っただけみたいだ

美味しそうな家庭的な料理が並んだ

「おっ 旨そうだな~ いただきます。」

横島は笑顔でがっついて食べ始めた

「う… うまい… こんな旨いご飯はいつぶりかわからないよ」

横島は笑顔で食べていたが、本人も気がつかないうちに、涙が一滴流れた

それをみた夕映は

「美味しくなかったですか?」

横島は不思議な顔をしていると

「横島さん、今涙流してたで…?」

木乃香の言葉に横島は自分の目元を触れて気が付いた

「暖かいご飯なんて本当にいつぶりかわからなくてさ… 昔が懐かしかったからな…」

横島は少し遠い目をした…
かつて横島がお腹を空かせたらご飯を作ってくれる元幽霊の少女
横島食べっぷりに呆れながらもご飯を食べさせてくれる雇い主
肉を嬉しそうに食べる人浪の少女
油揚げが大好きで横島の油揚げを欲しそうに眺める妖弧の少女

そんな幸せな食事風景…
二度と戻ってこない大切な時間


そんな横島の遠く悲しい目を見て木乃香が動いた
横島を後ろから抱きしめた

「木乃香ちゃん!?」

横島が驚いて声をあげるが木乃香は気にしないで続けた

「横島さん… 我慢しないで泣いていいんよ ここにはうちと夕映しかおらん。 今くらいは我慢しなくてええんよ…」

木乃香はそう話すと、横島の前に周り頭を自分の胸に抱きしめた

夕映もいつの間にか何も言わずに、横島の背中を撫でていた

「う… う… うう…」

横島の目から涙が溢れ出した…
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