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変わりゆく日々

初仕事から数日が過ぎたが、横島の日常はあまり変わりなく基本的に学校を優先させていた

正直横島としては学校など二の次でいいと考えていたのだが、魔鈴はどちらかと言えば学業優先の方がいいと考えていたのである

まあ魔鈴としては勉強云々よりも、横島に高校生活を楽しんでもらいたいという想いが強い

自分達が未来から来た存在であると同時にこの時代の存在でもあると考える魔鈴は、未来では失敗した横島の高校生活が今回は違うものになって欲しいと考えていたのだ


「なあ、心眼。 今の俺とメドーサが戦ったらどうなる?」

この日、横島は昼食を食べ終えた後に屋上に一人で来ていた

しかし平和で穏やかな学校に居る間も横島の頭からは、今後への不安が消えないままである


「負けはしないだろうが、勝つのも難しいだろう。 文珠を使えば別だがな」

独り言のような横島の呟きに心眼はゆっくりと眼を開き答えるが、その答えもまたはっきりしないものだった

この10年でなんとかメドーサと対等に戦えるだけの実力は身につけて来た横島だったが、何よりも経験が違い過ぎるのだ

未来において横島は何度もメドーサと戦ったが、全ては偶然や運により味方された勝利だったのだから……

はっきり言うと横島はメドーサが怖かった


「逃げ出したいって今だに思うんだわ。 でも俺が逃げ出すとシロやルシオラ達がな……」

誰にも言えない事だったがGSになる事は横島の本意ではないし、アシュタロス一派との戦いなどしたくもない

人間世界の平和や未来なども興味がない横島が勇気を振り絞っている理由は、身近なシロやルシオラ達の存在だった


「小竜姫様に全て話して神族に任せるか?」

「それが世界の為には一番いいのかもしれんが、俺はルシオラに会いたい。 そしてベスパとパピリオにも生きて欲しい」

今神族に全てを知らせれば歴史は変わるかもしれないと理解する横島だったが、ルシオラ達三姉妹の未来を思うと出来ない事である

小竜姫個人で解決出来る問題ならば別なのだろうが、神界上層部がルシオラ達三姉妹の未来を守るとは横島には思えない


「歴史の流れは繊細かつ複雑だ。 仮に神界上層部が未来を知っても動けない可能性が高い。 神魔の全面戦争や魔族の内乱に発展する可能性も否定出来ない。 それよりは今ある歴史の流れに乗り同じような結果にする方が確実だろうな」

過去や未来、そして神魔界の関係を考えると明確な答えは出ないだろうと心眼は語る

それだけアシュタロスの立場は神魔にとって難しいものだった


「世界など目的のついでに救ってやればいい。 どちらにしろお前は戦うのだろう?」

「ついでか……、小竜姫様に聞かれたら怒られるんだろうな~」

どこか温かみのある心眼の言葉は冗談とも真実とも取れる言い方である

戦いへの恐怖や世界への重圧を感じる横島に、心眼の言葉はそれがまるでルシオラ達のオマケのような扱いだった

そんな真面目な性格だとばかり思っていた心眼の意外な一面に、横島は思わず笑ってしまい悩みが軽くなった気がしていた


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