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GS横島 運命と戦う者

先手は西条からであった

霊剣ジャスティスを水平にして、突きで横島の胸元を狙う

もちろん寸止めのつもりであるが、初対決の時のように嘗めてかかるつもりは無いらしく本気である


迫り来るジャスティスを横島は霊波刀で反らし、そのまま西条の首筋に霊波刀を突き付けた


「今回は逃げなかったんだね…」

とっさに横島から離れた西条は、予想以上の実力に驚きと共に背筋が寒くなる思いであった


「言っただろ? 本気で力を求めたって」

横島は西条を追撃することも無く、静かに霊波刀を構えたままだ


(どういうことだ… 僅か数ヶ月で何が変わった? アシュタロス戦後の僅かな期間で横島君は剣術を身につけたとでも言うのか?)

実力が違うなんてレベルじゃない、別人と言った方が納得出来るほど横島の戦いは変わっている

西条はその違いに困惑を隠せないでいた


「西条さん、横島さんは老師の加速空間で数年修行しました。 もちろん基礎からしっかりと。 剣術は私が一から教えました。 横島さんに一撃入れられたら、私に一撃を入れたと思っても構いませんよ」

僅かな期間で驚異的に強くなった理由が気になって仕方ない西条に、小竜姫は少しため息をはいて説明をする


「そんな…」

小竜姫の言葉とその自信に信じられない思いの西条

彼の中ではどうしても昔の横島の印象が拭えないようだ


「来ないならこっちから行くぞ」

すっと静かに動く横島だが、そのスピードは西条とはレベルが違う

西条は慌ててジャスティスを構え霊波刀を受けるが、それもギリギリである


もちろん横島はかなり手加減していた

霊力は人間並に押さえているし、動きも西条がギリギリ見える範囲に押さえているのだ


戦いは横島が積極的に責めて西条が受けていくが、実力の違いは鮮明で一方的であった



「あの人間ダメでちゅね…」

「横島がわざわざこんなことをした理由がわかったね」

気楽に見ているパピリオとベスパはそんなことを語りつつ、横島の目的を理解したようだ


「それほど危険な場所に奴は行くのか?」

横島の行動の意味を真っ先に理解したワルキューレは、すでにその裏側を考えていた


「そうみたいなのねー 何と言っても治安が悪すぎる国に行くのね。 だから横島さんは…」

ヒャクメの言葉にワルキューレやジークや老師は、複雑そうな表情で横島と西条を見ている


「人間は今も昔も変わりませんね。 目先の争いを辞めない。 人間同士で争ってる場合では無いのですが…」

元人間のジークは何とも言えない複雑な表情のままつぶやく


今の神魔界の状況を考えれば人間同士で争ってる場合では無いのだ

ちょっとしたきっかけで世界が破滅に向かうかもしれない

しかもその小競り合いが一番多いのは神魔界では無く、中立地帯の人間界なのだ


「それは変わらんよ。 神魔と人間では寿命が違い過ぎる。 その違いから価値観や生き方も変わってくる。 それに、人間に神魔の争いを気にしろと言う方がおかしいのじゃ…」

老師の言葉が見学している者達の心に響く

そして寿命が変わったとはいえ、友に大事なことを伝えようとする横島を静かに見つめていく

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