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平和な日常~秋~

それに横島から余り物として貰う食材も、明日菜の生活費の節約に一役買っている。

まああくまでも横島次第ではあるが、明日菜としては続けたいのが本音らしい。


「……私もよかったら続けたいです」

そんな明日菜に続きのどかも意見を言うが、彼女も続けたいらしい。

夕映もそうだが週に一~二日の夕方のバイトなら、ちょうどいい小遣い稼ぎになるのだ。

どのみちほとんど毎日夕方に店に寄ってる身としては、バイトとして収入が得られるならそれに越したことはない訳だし。


「えっと、じゃあ頼もうかな。 シフトは今までと同じくみんなで決めてくれ」

明日菜に続き大人しいのどかまでも続けたいと言ったことで、横島は彼女達に完全に任せることにする。

彼女達が望むならば横島としては、特に反対する理由はない。


(よかったです)

割とあっさりと決まったが、それはいつもと同じ流れである。

夏休み中も横島はバイトのシフトには全く口を挟まなく任せっきりだったのだ。

ただ夕映や木乃香達はバイトに関して、横島に言えない理由も僅かにあった。

正直彼女達は横島が別にバイトを雇うのを警戒してるし、あまり望ましくないと思っている。

実は夏休みに入った頃から、横島にバイトとして雇って欲しいと言う中高生の女の子が結構居たのだ。

基本的に横島は女に甘いし、木乃香達を見てると楽しく楽そうに見えるのが原因であろう。

本来はバイトをどうするかは横島が決めることなのだが、女に甘く騙されやすそうな横島に悪い女が来ると大変なことになる。

冗談のような話だが木乃香達は割と真剣に心配していた。

それに横島の店を開店以来手助けして来たのは自分達だとの自負も多少あり、下手に部外者を入れて自分達の居心地のいい場所を奪われるのも同時に警戒している。

流石に口に出しては言えないが、自分達の居場所を守りたいとの思いが彼女達には生まれていた。


「みんなといっしょ?」

「ああ、みんなが助けてくれるってさ」

一方の横島だが、木乃香達が何かを考えて心配してるのは感じている。

ただ横島もまさか自分が騙されないか心配されてるとは思ってないが。

タマモとさよはただみんなと一緒の時間が増えるのを喜んでおり横島もそれは同じだった。

木乃香達は自分達の居場所を奪われるのも心配してるが、実のところ横島は他のバイトを雇うつもりは今はない。

まあ将来的にバイトが必要になるかは分からないが、もし仮にバイトが必要になれば木乃香達にバイトを選んでもらうつもりでいる。

横島自身は現状の店の成功は木乃香達の協力があってこそだと考えてるし、木乃香達の意思を無視した展開は考えてないのだ。

実際横島は今もバイトに関しては木乃香達に丸投げしているし、それを変える予定などあるはずがない。

加えて木乃香達は横島が女に甘すぎると感じてるが、横島はきちんと節度ある態度を示す木乃香達だからこそ余計に甘いだけだったりする。

流石に欲深いだけの馬鹿女に無尽蔵に甘くするほど横島は人間を信じてない。

その辺りの微妙な横島の使い分けは、流石に木乃香達も見抜けないようだった。

何はともあれ九月からも明日菜達三人のバイトは続くことが決まる。



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