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母からの伝言

いつの間にか降りだした雨は強くなり車に叩きつけるような雨粒の音が令子と横島の二人だけの車内に響いていた。


「美神さん。 やっぱり小竜姫様に応援頼んだ方いいんじゃあ……。」

「小竜姫様には子供の私を預けてるわ。 子供ってのは何するか分かんないし万が一を考えるとおキヌちゃん一人に預けるのも危険なのよ。 何かしらの方法で事務所の結界を破る可能性だってなくはないのよ?」

作戦はすでに決まっていて後はハーピーが来るかだけだが、横島はやはり不安らしく小竜姫に助けを求めたいようだが令子はそれに否定的であった。


「それにあんまり情けないとこばっかり見せてると私も横島君も見限られるわよ。 小竜姫様はメドーサとまた戦わなきゃならないのにアンタその時が来たら小竜姫様置いて逃げる気? いい加減自覚しなさい。 GSってのはそんな仕事だし、アンタの場合は小竜姫様と一緒に居るには少なくとも足手まといにならない力が居るのよ。」

確かに頼めば嫌とは言わないだろうが努力もせずに安易に頼るようではいつか見限られると令子は考えている。

もちろん令子自身もGSとしてのプライドがあるので出来ませんでしたとは言いたくないとの想いもあるが。


「美神さん……。」

加えて何より怖いというだけで安易に小竜姫を頼ろうとする横島に令子は何故か苛立ちを感じ、つい横島が理解してない自分の立場を語って聞かせてしまう。

小竜姫が実際何を何処まで考えてるのかは令子にも定かではないし、恐らく横島をそこまで危険な戦いに巻き込むとはあまり考えてない。

しかし一方で小竜姫はいずれメドーサと再戦することになった時に横島が足手まといになっていては話にならないのだ。



「幸い私を狙ってるヤツはメドーサより弱いわ。 結界も事務所と同程度でいい。 とにかく羽根を狙って地上に落とすのよ。」

そんな小竜姫の名前を出した令子の言葉にも横島からは怯えの表情は消えなかったが、それでも効果がない訳ではなく弱音を吐くことはなくなる。

メドーサとの再戦の問題は小竜姫が気にしてないので横島の頭からは抜けていたが、小竜姫がいかに実力があってもメドーサが相手ではどうなるか分からないのは横島にも分かることである。

そして小竜姫が戦うのを前に自分はどうするべきなのか、令子に突き付けられた現実は確かに横島の心を動かしていた。


「美神殿、来たぞ。 やはり退かなかったか。」

「頼んだわよ。 結界はギリギリで。 そのあとは鳥女の注目を引き付けるわよ。」

まあ実際に現時点で横島に出来ることはやはり逃げないで居るだけであり結界も反撃も心眼頼りでしかない。

だが横島にとってやはり小竜姫は特別だった。

逃げられないという令子が引いた一線は令子ですら思いもしない効果を発揮することになる。



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