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魔鈴心霊相談事務所始動!

その日の夜8時を越えた頃、魔鈴・横島・雪之丞の三人は都内の外れの住宅地に来ていた

来た理由はもちろん除霊であり、これが初めての仕事である


「今回の依頼は夜道に現れる痴漢の幽霊です。 夜に一人で歩く若い女性を追っかけてるみたいですね」

初めての依頼なのだが内容がなんとも言えないものだった

対象は女好きな中年の男性の幽霊で、若い女性を見ると追っかけて来るらしい


「初めての依頼が痴漢の幽霊か~」

「実害は特にないんだな」

依頼書を見ながら魔鈴の説明を聞く横島と雪之丞だが、二人とも微妙な表情である

横島は過去の経験からなんとも言えない気持ちだし、雪之丞は戦闘がない地味な依頼につまらなそうなのだ


「実害はありますよ。 一般の人はただでさえ幽霊が怖いのに痴漢ですからね。 それに女にとって痴漢は怖いものなんですよ」

「いや、スマン」

実害の部分に魔鈴が反論すると雪之丞は少し動揺したように謝る

相変わらず魔鈴に対してどう接していいか微妙に迷ってるようだ

加えて女心をまるで理解してない為に、そこを突かれると反論出来ない


「しっかり稼がんとな~」

一方横島は現状の自分達の生活がギリギリなのを理解しており、早く稼がないと今後がキツイと考えていた

突然の過去への逆行からようやく落ち着き始めていた生活だったが、現状の横島達の一番の問題は資金難である

横島・カオス・雪之丞の三人は元々貧乏なため、現状は魔鈴の貯金で事務所の設立などをしていたのだ

横島としては未来では夫だった訳だし、現状のヒモのような状況は早く脱却したかった


「除霊方法は基本的には説得して成仏してもらいますが、ダメならば強制的に成仏してもらうしかありません。 今回は命の危険性が低いことから事前に調査が入ってないので、気を引き締めていきましょう」

さて除霊方法など具体的な話になるが、今回は至って普通の除霊である

幽霊による痴漢なのだが女性にとり憑いたりする訳でもない為、事前に調査は入ってない

いわゆる調査と解決の両方を纏めて行う依頼である

依頼料は20万で安いのだが、相手が悪霊ではなく浮遊霊な可能性が高い為にこの程度の料金が相場だった


「これで20万は安いのか高いのか……」

「相場ですよ。 相手が浮遊霊だと確定するならば高いくらいです。 今回は調査も込みですので20万円ですが、通常浮遊霊との交渉は高くて10万円程度でしょうね」

痴漢幽霊の出没地点から僅かに離れた場所で幽霊が来るのを待っている三人だったが、この時代の雪之丞はさほど実戦経験はないらしい

未来でもお金には疎かったのだが、この時代ではそれ以上にオカルト業界を知らないようだ


「雪之丞さんの実力は理解してますが、GSの大半は今回のような依頼ばかりですよ。 強い相手と戦う依頼が好みなのかもしれませんが、そう言った依頼を受けるには地道な実績が必要なんです」

やはり未来の時とは経験に違いがありすぎるようで、雪之丞はイマイチやる気が入らない

そんな雪之丞に魔鈴は地道な経験や実績が必要な事を語っていく


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