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新しき絆

その日は百合子が横島の部屋で料理をしていた

せっかくなので、手料理を食べさせようと思ったのである


夜、横島と百合子は二人で夕食を食べていた…


「忠夫、卒業後どうするつもりだい? 大学行きたいなら、一年は浪人してもいいんだよ」

百合子は夕食を食べながら、横島に聞いた


「うーん… 大学はいいや… いろいろやることあるし…」

横島は百合子が大学の話をしたのに驚いていた

「そうかい… お前はまだ若いんだ。 好きなことしていいんだよ」

百合子は横島を冷静に見ながら話していた


「ああ… 俺決めたんだ。 卒業後は魔鈴さんの店で働くんだ… 昨日のタマモと、他に人狼のシロって奴がいる。 二人が人間社会で自由に生きていけるようにしたいんだ」


横島は箸を置いて、百合子を見た

そして真剣な表情で話した


百合子は黙って横島を見ていた


「お前がちゃんと考えて出した結果なら、母さん賛成だよ」

百合子は笑って横島に話したが…


すぐに険しい表情になる

「それはいいわ。 で…美神さんのとこはどうするの?」

百合子は険しい表情で横島に詰め寄る


どうも、息子は優しすぎる…

あれだけの扱いを受けてもだ…

それが息子のいいところなのは理解している

だが…

過ぎる優しさが不幸にしかならないのを、百合子は知っていた


そして、息子の決意も知りたかったのだ

魔鈴の決意は今日見た…

息子がそれを受ける資格があるかどうか…

百合子は見極めようとしていた



そして、百合子は気がついていた

横島が心の奥底に魔鈴に対する愛情があるのに…

ルシオラへの愛情もあるが、魔鈴に対する気持ちも確かにあるのを見抜いていた


ルシオラの存在や過去で、横島が自分の気持ちを封じ込めてるのを、百合子は複雑な気持ちで見ていた


魔鈴に横島を預けるか…

百合子は最後の判断をする為に息子の本心を知りたかった



百合子は険しい表情のまま横島の答えを待つ

「美神さんのとこは辞めるよ。 完全に縁を切る。 俺はあの人を仲間だとはもう思えないんだ…」

横島は少しつらそうな表情でゆっくり話した


「忠夫……」

百合子は複雑な表情になっていた


「美神さんや隊長は、俺とルシオラを見捨てた… 俺は絶対に忘れない!」

横島は悔しそうに、拳を握りしめていた

「これからどうしたいのかもわからない… だけど… もうあの人達と笑い合う日は来ないと思う…」

横島は自分の気持ちを素直に百合子に話した


百合子は横島の様子に、改めて自分の不甲斐なさを嘆いていた

あの時…

令子の事務所に行った時…

自分がしっかり対応していれば…

息子とルシオラさんは…

百合子は落ち込みそうになる自分を、奮い立たせた


「そうかい… 中途半端はだめだよ。 しっかりケリつけるんだよ!」

百合子は強い口調で横島に言った


「わかってるよ… お袋、いろいろありがとう…」

横島は真面目な表情で百合子に頭を下げた

横島は昨日と今日で、なんとなく理解していた

百合子が来日したのは自分を心配して来たのに…


そして、百合子の優しさに本当に感謝していた


だが百合子は…
 
(このバカ息子が…)

一瞬怒りでキレそうになった

大人の男になったのは嬉しい…

だが…

親に対して壁を作ったり、遠慮したりするのは違うと思った

ケンカしても、文句を言い合っても…


本心を語り合っていた親子だったのだから……


百合子は自分を落ち着かせてゆっくり話し出す

「忠夫… 私はあんたの母親なんだよ。 私にまで壁作るんじゃないわよ!」


百合子は落ち着かせて話したが、厳しい口調になっていた


横島はそんな百合子に戸惑った顔をしていた

「お袋… 俺は感謝したつもりなんだが…」

横島は百合子の怒りを理解出来なかった


百合子はそんな息子にため息をついた

「ふー…、まあいいわ。 でも、親に遠慮するんじゃないよ!」

百合子は横島に言い聞かせるように話した
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