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平和な日常~夏~2

一休みした横島とタマモはお昼まで再び海で遊ぶのだが、先程教えた泳ぎで少しだけ沖に行ってみたり水際でボールで遊んだりと賑やかだった。

なんと言っても中学生の少女達のパワーは凄まじく、明石と高畑は多少疲れの表情も見せていたりする。

特に明石は娘の裕奈が一切遠慮しないので一番振り回されており、日頃の忙しさから家族サービスが足りなかった分だけあれこれと付き合わされていた。


「そういえばアスナ君と海に来るなんて何年ぶりだろうね」

一方の高畑は少女達に振り回されてはいるが、明石よりはマシというか一応教師として扱われている。

そんな時近くにいた明日菜と木乃香を見て、思わず懐かしそうに笑みをこぼしていた。


「最後に来たのは、木乃香と一緒に小学六年の時に連れて来てもらった時ですよ」

「そっか、あれから二年か……」

月日が過ぎる早さを感じる高畑は、いつの間にか成長した明日菜を見て感慨深いモノを感じている。

明日菜達が小学生の頃も高畑は相変わらず忙しかったが、それでも暇を見つけては明日菜と木乃香を海や山に連れて行っていたらしい。

高畑は元々ガトウから明日菜を託されたので親代わりまね事でも出来ればと、高畑なりに頑張ってはいたのだ。

小学生当時の明日菜が麻帆良を出たのは、高畑か刀子か近右衛門かあやかの祖父である清十郎と一緒だった時がほとんどである。

今は明日菜の成長と共に容姿や性格も変わったので、明日菜が単独で麻帆良を出ても大丈夫だろうと判断されているが。

小学生当時はまだアスナ姫の面影もあり、その行動は細心の注意が払われていた。

ただここで難しいのは明日菜をただ隠して麻帆良に閉じ込めるだけでは、明日菜のためにならないということだろう。

その結果として、同じく護衛が必要な立場でもある木乃香やあやかと一緒に外に連れ出すことが多かったらしい。

本人は当然理解してないが明日菜の小学生の頃の思い出には、表に出てない気苦労も結構あったようである。


「新聞配達は大変じゃないかい? 学園長ともたまに話してるけど、僕や学園長は君に無理はして欲しくないんだよ」

「もう慣れたので大丈夫です。 できることはしたいですから」

若干緊張気味の明日菜に高畑は優しく語りかけるが、明日菜の緊張は解けないばかりか増していくばかりだった。

ちなみに明日菜の新聞配達の件も最初は結構議論を呼んだのは、もちろん明日菜が知らない裏側である。

明日菜は純粋に高畑や近右衛門への感謝と自分に出来ることを考えて新聞配達を始めたいと言ったのだが、明日菜の素性を知る高畑や近右衛門や魔法協会の幹部達は少し困惑したらしい。

知らないとはいえもしかしたら一国の王女だったかもしれない明日菜に、新聞配達をさせるのはいかがなものかと議論が多少あったようである。

正直な話をすると明日菜の存在は魔法協会の気苦労の種でもあったが、純粋にすくすくと育つ明日菜は未来への希望でもあったのだ。

結局新聞配達は明日菜の意志に任せることになるが、そんな明日菜の努力する姿勢が真実を知る関係者に好感を与えたのは確かだった。



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