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母からの伝言

「うおっ!? なんにがあったんっすか!?」

その後横島が事務所に来たのは夕方に差し掛かる頃であったが特に何も起きることなく宛が外れた形の令子は暇を持て余していて、雪之丞は勉強してるし小竜姫とおキヌはかつてパイパーの時に見た幼い令子そっくりなれーこと遊んでいるとなると横島は一体何があったのかと来て早々に事務所内の光景に驚いてしまう。


「それがですね。」

「へ~、不思議なこともあるもんっすね。」

雪之丞が勉強をし始めたことはともかく死んだはずの母親が幼いれーこを連れて現れたとなると横島には理解できないようで、おキヌや小竜姫がそう言うならそうなんだろうと軽く聞き流していく。

ちなみに子供の扱いについては小竜姫が流石に年の功か意外に上手くおキヌと二人で面倒見ていたが、令子自身はあまり子供が好きでないからと小竜姫とおキヌに任せっきりだ。


「それにしても小竜姫様が子供の扱いに慣れてるのがビックリだわ。 もしかして子供でも居るの?」

「居ません!! ただ私は妙神山に赴任するだいぶ前に天龍童子殿下などの竜神王族の子供を見ていた時期があるので。 私も遠縁ですが王家の血を少しは引いてるのと手頃な人が居なかった時期があったので。」

ただ令子は失礼ながら小竜姫が自分より子守りに慣れてることが意外らしく実は子持ちかと疑ってしまい、横島は令子の言葉に強いショックを受けるも小竜姫により全力で否定されホッとする。

肝心の小竜姫が子供に慣れてる理由は妙神山赴任前の経験らしいが、横島はそこまで聞いて改めて小竜姫が自分より遥かに年上なのだと実感した。

まあ見た目が若いので別にそれ以上気にすることはなかったが。


「今日は何にも起きなかったけど明日はどうしようかしら。 そもそもママも何も未来に預けなくてもよくない? 過去の自分にでも預ければいい訳だし。 何か裏がありそうなのよね。」

「そうですね。 迂闊に動かぬ方がいいと思いますよ。 何故今日なのかというのは私も少し気になります。 まさか出たとこ勝負で適当に時間を越えた訳ではないでしょうし。」

横島が来たことで事務所のメンバーは揃うが横島もまた小竜姫から雪之丞と同じ勉強をするように言われて顔をムンクのように嫌がるも、ニッコリと微笑み頑張って下さいと言われると嫌とは言えない。

雪之丞はざまあみろと笑っていて横島は渋々雪之丞が見てない本を手に取るが、令子はそんな二人にため息をつきながら小竜姫と明日以降の相談をする。


「ああ、美神さんの記憶を見ていいなら私の友人を呼びましょうか? 何か分かるかも。」

「それは最終手段にしたいわね。」

「こういう時は落ち着いて成り行きを見守るのも必要ですよ。 最悪妙神山に逃げ込めば大抵のことからは身を守れる訳ですし。」

本来の歴史と違い小竜姫が子守りをしつつ相談に乗ってることで、令子はいち早く美智恵が何故今日という日に未来に来たのかという疑問に気付いていた。

小竜姫の方はこれが未来で聞いたハーピーの襲撃事件と未だに確定出来ぬ以上は慎重にならざるを得ず、加えてGS試験でのメドーサのあまりにも鮮やかな撤退があったこともあって、仮にハーピーの事件だとしても下手に未来の情報に拘るのは悪手だと警戒している。

結局は明日も仕事を休み様子を見るしかなかった。



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