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平和な日常~夏~2

その後はさよとタマモに泳ぎを教えることから始めていた。

少女達はあちこちにいくつかのグループが出来て海を満喫しているが、横島は木乃香や明日菜に手伝って貰いつつさよとタマモに泳ぎを教えている。

特にスポーツが得意な明日菜は水泳も得意らしく、教えるのも上手かった。

そして教わる側のさよとタマモだが、二人とも結構スムーズに泳ぎを覚えて泳げるようになる。

これに関しては基本的に器用なタマモは当然としても、幽霊なので息つぎの呼吸が実は必要がないさよも泳ぎの習得は早かったようだ。

一応息つぎはしているさよだが、正直息つぎはしてもしなくても苦しくなることはない。

加えて幽霊なので実体化する以前に空をふわふわと浮いていた経験も実は結構役にたっている。

むろん実体化してるので水の抵抗などはあるが、基本的には空を浮いているのと似た感覚であり結構楽しいらしい。


「お魚さんがいないね」

「この砂浜は海水浴場だからな。 沖に行けば見れると思うぞ」

一通り泳ぎの練習を終えた横島達は砂浜に近いエリアで泳いでいたが、タマモは魚が見たいらしく魚が居ない海水浴場に少し残念そうだった。

流石に捕るつもりはないらしいが、金魚を飼って以来魚にも興味を示しており海で泳ぐ魚が見たかったようである。


「ねえマスター。 楓達が魚を捕まえて来たから捌いて欲しいんだって」

「捕まえて……?」

「なんでも古菲と二人で、沖で手づかみで捕まえて来たんだって」

そのままあまり深くない場所で泳いだりして海を楽しんでいた横島だったが、まき絵に呼ばれて砂浜に戻ると古菲と楓の二人が大量の魚を捕まえて騒ぎになっている。

どうやら最初は遠泳をしていたらしいが、途中から魚を捕まえる勝負を始めたらしい。


「お前らなぁ~」

しっかりと血抜きした魚を細いロープで結わえて大量に持つ楓と古菲の二人は、とても海水浴に来た女子中学生には見えない。

刀子やシャークティも若干引き攣った笑顔を浮かべてることからも分かるが、そもそも一般人は素手で魚を捕まえるなどなかなか出来るものではない。

まあ楓と古菲の二人は下手な魔法関係者より強いので出来ても不思議ではないが、どうしてこうも余計な目立ち方をするのかと頭を悩ませる。


「捌くって言ってもここじゃあちょっとな……。 海の家にでも頼みに行くか」

せっかくだからとれたての新鮮な魚を刺身で食べたいと言い出す少女達に、横島はため息混じりに魚を受け取ると捌く為に近くの海の家に頼みに行く。

海の家では忙しい時に面倒な頼みをする横島に若干嫌な顔をするが、場所代として金を払うとなんとか厨房を貸してくれた。


「あの子達にはもう少し常識を教えないとダメかしらね?」

さて海の家に魚を捌きに来た横島だが、一緒に来たのは何故か刀子だった。

あまり大人数では邪魔になるので横島は一人で来るつもりだったのだが、刀子はシャークティに後押しされる形で手伝いとして着いて来たようである。



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