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平和な日常~夏~2

一方ブルーシートを敷くなどしていた横島と大人組だが、刀子とシャークティは先に着替えに行き現在は横島と高畑と明石の三人が荷物の番として残っていた。

そんな三人だが高畑と明石の興味はやはり横島に向いている。

横島が麻帆良を訪れておよそ半年が過ぎたが、僅か半年でかなり名前と顔が知れてるちょっとした有名人なのだ。

特に麻帆良祭以降は木乃香との関係から魔法関係者での知名度も高い。

魔法に少なからず関係する人間ということで、中には何処かの工作員かと疑う者も僅かには存在するが、報道部の新聞によく載るなどその行動からほとんど警戒する者はいなかった。

基本的に魔法関係者はあまり目立たない行動をするのが当然なのだ。

まあ高畑のように有名な魔法関係者も何人か居るが、高畑は仕事上の役割から目立っているだけであって本人の落ち度ではない。

元々大戦の英雄として名高い高畑は、有名過ぎて隠すよりは表に出た方がより他の魔法関係者を隠すのに役立っている。

そんな訳でちょくちょく目立って有名になる横島を警戒する者は現状では皆無に近かった。

ただタマモの保護やさよの実体化などで、最近は横島の魔法に関する評価が上げてるのも確かである。

特にさよの実体化については、元々存在を認識していた僅かな人数の魔法関係者を驚愕させたほどだった。

正直あそこまで幽霊を常時実体化させるのは並の魔法使いでは到底出来ることではない。

元々霊能の技術があまり発達してない世界なだけに、その技術の異端さが若干際立っている。

まあこの世界でも陰陽術などの東洋系の術ならば不可能ではないのだろうが、古くからの術を多く抱える関西呪術協会でも同じことが出来る者はそう多くはない。

ただここで難しいのが基本的に西洋系は魔法の体系がしっかりとあるのに対し、東洋系は割と土着の魔法というか術がひっそりと残っていたりして、時々横島のような術者が出て来ることはあることだった。

そんな関東魔法協会での横島の分類は長瀬楓と同じような扱いであり、どこぞの秘術を受け継ぐ存在なのだろうとのもっぱらの噂である。

対心霊という意味では刀子の神鳴流の技術は別格なので刀子は横島の技術にもあまり反応しなかったが、一般的な関東の魔法関係者からすると横島の技術は驚きの対象なのだ。



「いや~、海水浴に来るなんて久しぶりっすよ」

そして高畑と明石の興味が若干自分に向いてることを知ってか知ずかはわからないが、横島は久しぶりの海に楽しげであった。

二人は横島の言葉にその過去が少し気になるが、それをいきなり尋ねるほど無神経ではない。


「相当料理が上手いんだって? 噂は聞いてるよ」

「料理は凄いですよ。 あのエヴァが通ってるそうですから」

「それは凄いね」

横島と明石は麻帆良祭の準備の時に一度会っただけでほぼ初対面である。

しかし明石はどいやら娘の裕奈からもいろいろ聞いてるらしく、横島のことを結構知ってるらしい。

そんな二人は横島の料理の腕前について話をするが、評価基準はなぜかエヴァだった。

どうやら彼女は相当な食通として一部の魔法関係者に知られているようである。



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