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平和な日常~夏~2

「おはようございます」

「やあ、凄い荷物だね」

バスの前には高畑や数人の少女達が集まっており、細かい事を知らない高畑は横島達の荷物の量に驚く。


「朝飯っすよ。 頼まれたんで作って来ました」

荷物を車内に運んだ横島達は一息つくが、その間にも少女達が続々と寮から出て来る。

みんな普段より一段と気合いが入ってるというかオシャレをしており、若干眠そうな者も数人居るが元気そのものだった。

大人組の刀子達や明石教授も集合時間の十分前には到着するが、明石教授は娘である裕奈に僅かな服装の乱れを直されているし刀子とシャークティは数人の少女達に囲まれている。

当然ながら刀子やシャークティも普段の服装とは違うラフな服装だった。

その服装がまた少女達の注目を集めるが、これは仕方ないことだろう。


「なんか遠足みたいだな」

「えんそく?」

「学校の行事で遠くにお出かけすることだよ」

教師と生徒が揃って観光バスがある様子はまるで遠足そのものだと思わずつぶやく横島だが、タマモはやはり遠足を知らないらしく横島は少し考えながら説明する。

いつもながら2-Aが何かやると何故か普通と違うことになるとしみじみ感じる横島だが、原因の一部が自分にあることは頭になかった。

何はともあれ特にトラブルもなく出発することになる。



「私、大丈夫でしょうか?」

「大丈夫だって。 絶対ばれないよ」

そのまま賑やかに出発したバスだが、出発早々にビデオカメラで撮影を始めた朝倉和美を見てさよは横島に小声で不安だと告げた。

本人いわく自分は写真うつりが悪いから心配だとのことだが、そもそもさよの術は横島がかけてる術なだけに問題があるはずがない。

横島は相変わらず楽観的でありさよは若干心配になるが、基本的にいつも何とかなってることからさほど悩むほどでもないようだ。


「そういえば、この前のお祭りで会った人達にあの不思議な『気』を習ったのですか?」

「えっ!? あれはその……、習う約束をしてまだ時間が合わなくて会ってないアル」

一方古菲の席の周りには夕映とのどかが座っており、夕映はここぞとばかりに先日の『気』について古菲に尋ねる。

しかし古菲はその話題になるとあからさまに顔色が変わり、まるで秘密があるから聞くなと言わんばかりの態度に変わっていた。

一応それらしい答えをするが、真剣に真っすぐ見つめる夕映の視線を外してることからも古菲は相当嘘が下手らしい。


(ありゃダメだな)

そんな古菲に思わず笑い出しそうになるのを堪える横島だが、高畑や刀子達は笑えないらしく微妙に冷や汗を流していた。

実は古菲は豪徳寺や豪徳寺の友人で『気』の使える者達と一緒に口止めをされている。

口止めをしたのは魔法関係者の中でも一般的に一番目立ってる高畑であり、魔法や魔法協会の存在こそ教えてないが世の中には力を隠してる達人は多く、彼らは力を世間に公にされることを望んでないので出来るだけ『気』を人前で使わないで欲しいと頼んでいた。

その代償として彼らに『気』の指導を高畑が時々する約束をしたら、根っからの武闘派な彼らは喜んで協力することになったらしい。

ただ問題は古菲が人に嘘をつけるような性格ではなかったことだ。



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