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GS横島 運命と戦う者

次の日から西条は転属に向けて準備を進めていく

やりかけの仕事や引き継ぎ事項など、毎日忙しく過ぎていった

忙しい理由は転属命令が急だったのと、オカルトGメン日本支部の仕事は西条が大半を仕切っていた為、引き継ぎなどが膨大だったのだ


それに加え仕事が終われば、世話になった人や関係先に挨拶まわりをして行き、睡眠時間も少ない日々が過ぎていく


そして、とうとう西条が出国する3日前…

仕事の目処がつき、ようやく残り3日だけ時間が自由になる

西条はこの3日に会わなければならない人物が居た為、苦労して開けたのだ


初日はかつて共に戦った者達を訪ねて挨拶にまわる

「神父、大変お世話になりました」

西条が訪ねたのは唐巣の教会である


「西条君、君にも苦労をかけたね… 元はと言えば、私があの親子をしっかり教育していれば…」

唐巣は自分を責めるように険しい表情だ

「いえ、誰が何と言おうと先生や令子ちゃんは変わらないでしょう… 僕は僕の道を生きます」

西条は唐巣を思いやるように笑っている


「君の未来に幸あらんことを…」

唐巣は西条の未来を神に祈る


「ピート君におキヌちゃんも頑張ってくれたまえ、いろいろ難しい時代になったが君達ならいいGSになれるさ」

西条の言葉と表情にピートもおキヌも驚いていた

前より一皮むけた西条は、どこかスッキリした表情で自然である


「西条さんも頑張って下さい」

ピートと西条は握手を交わす

「西条さんにはいろいろお世話になりました」

おキヌは西条に深く頭を下げる


「おキヌちゃん、君や横島君とは違った形で会いたかったな… 次に会う時を楽しみにしているよ」

西条は少し苦笑いしておキヌと握手を交わす


西条は神父の教会を後にしたら、次々に人を訪ねていく

小笠原エミ、六道冥子、ドクターカオスとマリア、魔鈴めぐみ

西条がこの日まわったのはあの戦いで共に戦った仲間であった


そして夕方

西条は美神除霊事務所の前に居た

複雑そうに事務所を見上げた西条は人工幽霊に話をして中に入っていく


どこぞのゴミ屋敷のような室内を西条は足元に気をつけながら進む

「久しぶりだね… 令子ちゃん」

西条は応接室で無表情で書類を見つめる令子に話しかける

西条が令子に会いに来たのは、辞令が降りてからは初めてであった


「あら西条さん、何か用?」

令子は西条に目も向けずに口を開く

すでに令子は美智恵により、西条が転属するのは知っているようである


「お別れをいいに来たんだ… 僕は4日後に日本を去る」

西条と令子の間にはすでに暖かい空気は無い

令子は他人と同じように心を閉ざしているし、西条も令子に淡々と話している


「そう……、気をつけてね」

令子はそう話すのが精一杯であった

それ以上何か言えば全てが壊れてしまいそうで……


「令子ちゃん…、僕からの最後のアドバイスだ。 人は1人では生きていけない… 君や先生は誰よりも優秀だ… だが、他人を犠牲にし過ぎる。 他人を犠牲にするのではなく、人を信頼して助け合う生き方をした方がいい」

西条は険しく複雑な表情である


「私は…美神令子よ……」

令子はそれだけ言葉を発して無言になる


「そうか……」

西条は少し残念そうに呟き事務所を後にする


(私は美神令子)

西条の頭には最後の言葉がこだましている

「僕の言葉は彼女には最後まで届かなかったな…」

西条はそう呟き令子の事務所から離れていく
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