平和な日常~夏~2

「うな重評判よかったわよ~ 毎日やってくれないかって言ってる人もいたくらいだったし」

その後閉店した店内で夕ご飯にうな重を食べる横島達三人と明日菜と木乃香だったが、今日は横島がフロアに出れなかったことから客の反応などを教えていた。

客の評判がよかったと語る明日菜や木乃香だったが、横島は毎日やってほしいという意見に苦笑いを浮かべて首を横に振っている。


「手間はかかるし炭火が熱いし毎日は無理だよ」

客の評判には素直に嬉しそうにする横島だが、今回のウナギは最近では一番大変な料理だったらしい。

上手く作ってはいたがウナギを焼くのが繊細で大変だったらしく、毎日は無理だと言い切る。

火の通し加減やタレを絡めるタイミングなど横島は超感覚で分かるから美味しく作れていたが、普通の人間では苦労して当然だった。

加えて意外かもしれないが、今の横島も普段の温度の感覚は人間と変わらない。

現状では霊力を一般人並みに抑えているので、気温が上がれば暑いし冬になれば寒くも感じる。

まあ少し霊力を上げれば熱や冷気を完全に感じなくすることなどたやすいが、正直戦闘時以外は使うメリットがあまりない。

今回も厨房に炭火など持ち込んだ結果、炭火の熱で冷房が無意味になってしまい一日暑い思いをしていたようである。


「ウナギを食べるのはたいへんなんだね」

そんな若干苦笑いを浮かべて当分ウナギはやらないと告げる横島の隣では、タマモが美味しそうにうな重を頬張っていた。

今日一日タマモもあれこれと一生懸命手伝いをしており、ウナギを食べるのは忙しくて大変なんだと若干誤解をしながらも美味しいうな重に満足そうである。

どうやらウナギを食べるには、今日のように働かないとダメだと勘違いしてるらしい。


「そういや海に行くって何処に行くか決まったんか?」

そのままうな重と一緒に冷酒を飲む横島は、来週に予定している海の行く先を木乃香達に尋ねていた。

以前から美砂達などに海やプールに誘われていた横島だったが、流石に何度も店を休む訳にはいかないので海に行くことで話を纏めたのだ。

行く先に関しては美砂達や木乃香達などで決めるように言ったのだが、まだ何処に行くか聞いてなかったようである。


「それならまだ揉めてたわ~。 この時期どこの海も混むやん」

「いいんちょなんかは南国のリゾートがいいとか言い出して自家用ジェットを用意するとか言ってたけど、流石に毎回世話になるのもね」

海水浴に行くことは決まってるらしいが、個性豊かな少女達なだけになかなか行く先が決まらないらしい。

候補として有力なのは神奈川か千葉なのだが、混雑を嫌う者はあやかや千鶴のツテで混まない場所に行きたいようなのだ。

ただあやかには最近麻帆良祭やその後の打ち上げで結構世話になっており、毎回あやかに世話になるのはダメだと考える者達も少なからず存在する。

結局はまだ決まってないらしい。



65/100ページ
スキ