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平和な日常~夏~2

さてそんな賑やかな夜が明けた次の日、横島はホームセンターから水槽などの金魚を飼育に必要な物を購入して二階のリビングに金魚達を泳がせる水槽を置いていた。

水槽の中の水草などはタマモとさよに選んでもらい、三人で置き場所も決めている。

当初は一階の店に置こうかという話もあったが、金魚達が落ち着くように二階にしたらしい。

水槽の大きさは数十匹の金魚を入れる為大きめにしており、二階のリビングは金魚達のおかげで一気に華やかになっていた。

元々ソファーやテーブルなどの生活に必要な家具は揃った横島宅だったが、相変わらず殺風景というかインテリアになるような物がなかっただけにちょうどよかったようである。



「豪徳寺君か……」

そしてこの日の夜には偶然店を訪れた近右衛門に、昨夜の豪徳寺の一件をそれとなく語っていた。

無論あからさまに語りはしないが、豪徳寺が人前で気弾を使ったことや古菲がそれを習うらしいという内容を告げると近右衛門の表情は微妙に困ったように変わる。

それというのも魔法を全く知らない一般人が、気や魔法に関わるのは近右衛門の立場からすると厄介なことだった。

技術や力の秘匿に素直に協力してくれればいいが、はいそうですかと協力しない者も当然存在する。

人より優れた力を自ら編み出した者の中には、それを利用して金や名誉を欲する者は当然居るのだ。

一応魔法技術の秘匿に関してはメガロメセンブリアと地球側の極秘条約により地球では秘匿するように定められてはいるが、自ら魔法技術にたどり着いた者には協力してもらうようにとしか定められてない。

この辺りの条文は非常に曖昧で解釈次第ではどうとでもなるようになっているが、メガロ系列の魔法使い達は自分達の意に沿わぬ魔法使いを悪と断じて始末して来た歴史もある。

魔法の公開の是非はともかくとして、自ら編み出した超常的な力を世の中の為に役立てようと考えた者も行動の善悪関係なく始末されてきたのであった。


少し話が逸れたが一般人が裏に関わる可能性があるのは、それだけデリケートな問題なのだ。

豪徳寺や古菲などが力を悪用するとは近右衛門は思ってないが、かと言って彼らが秘匿に協力するかは別問題である。

正直な話魔法の存在と歴史を知らぬ一般人から見れば、魔法協会は力を独占してる悪の組織に見えなくもない。

特に正義感がある豪徳寺にその辺りをしっかり説明して協力して貰うのは簡単ではなかった。


「木乃香は気付くと思うかね?」

「今のところは大丈夫でしょうけど、彼らを押さえないと時間の問題かと」

そんな豪徳寺と古菲への対応も悩みの種だが、近右衛門は木乃香への対応も微妙に悩んでるらしい。

実は近右衛門の本音としては、木乃香に魔法の存在を教えるべきかとも考えていた。

今は両親の意向で隠されてはいるが、いつまでも知らぬままでいれる訳ではない。

はっきり言うと木乃香の親戚縁者は、ほとんど全てが裏の関係者なのだ。

幼い頃ならともかく判断力もついて来た年頃になって、いつまでも隠していくのは無理だった。

まあ木乃香が麻帆良に来たのも、京都の実家では魔法を隠し続けることが難しいとの事情もあったのだろうが……。



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