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魔鈴心霊相談事務所始動!

「美的価値観の話はどうでもいいよ。 とりあえず昼間ピアノを弾かれたら迷惑なんだわ。 人間と協力出来ないなら対立するしかないけど?」

挑発するようなメゾピアノに音楽室の空気は冷たくなるが、横島は真剣な表情でメゾピアノの言葉を半ば無視したまま交渉を続ける

そんな今までに無かった横島の姿に、GS試験の後半を知らないピートと愛子は驚きに満ちた表情でぽかーんとしてしまう


「やれるものならやってみたまえ」

しかし横島とメゾピアノの会話はまるで成立してなかった

メゾピアノは横島を挑発するような表情をと言葉を残して、ピアノの中に逃げ込んでいく


「クッ……」

「こいつってば弱いけどしつこいの。 お札くらいじゃひっぱがせないわよ」

横島の交渉を見守っていたピートはメゾピアノが消えた瞬間に苦々しい表情を浮かべでピアノごと攻撃しようとするが、愛子に止められてしまう


「まあ落ち着けって」

ざわつくピート達に横島は僅かに苦笑いを浮かべるが、そのままピアノに近寄ると栄光の手を伸ばしてピアノの中に突っ込みメゾピアノをピアノから引っ張りだしてしまった


「えっ!?」

その突然の行為にはピート達のみならず、唐巣ですらも驚き目を見開いている

栄光の手は元々横島の霊力な為、力の使い方さえ覚えれば物質をすり抜けることが可能なのだ

しかしそれを完璧に使い分けるのは現代ではプロのGSでさえ難しい技術であった

まさか最近霊力に目覚めた横島がそんな使い方を出来る事が、唐巣は信じられないようである


「条件を変えようか。 日中にピアノを弾くなら必ず姿を現して弾くことと、授業には邪魔をしないか協力すること。 この二つを守る気がないなら、出ていくか戦うか選んでもらうけど?」

ピートや唐巣達が驚く中、横島は淡々と交渉を進めていく

しかし右手の栄光の手はメゾピアノの肩を掴んだままだった

ピアノに傷一つ付けずにメゾピアノを引っ張り出して、加えていつの間にか横島は霊力を上げており霊力差があって逃げる事も出来ない

メゾピアノは横島の問いに答えるしか道は無かった


(あんまり好きじゃないんだけど、舐められてたら交渉にすらならないんだよなー)

周りが驚く中で淡々とメゾピアノと交渉している横島だったが、実はあんまりいい気分では無い

本当は時間をかけても普通に交渉したいのだが、基本的に妖怪は力の無い者の意見を聞かない傾向が強い

特にメゾピアノのような自己中な妖怪はその傾向が強かったのだ


「……分かった。 昼間はピアノを弾かないし、人間の邪魔はしない」

逃げ道がない状況と確実な霊力差にメゾピアノからは先程までの挑発的な表情は消えて、僅かに怯えながら人の邪魔をしないと約束する


「お前、人の話聞いてたか? 弾く時は必ず姿を見せる事と、授業中は邪魔しないか協力すればいいって言ったんだけど……」

メゾピアノとの交渉が無事に終わりホッとするピート達だったが、横島はまだ納得がいかないようで今だに掴んだままだった

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