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それぞれの想い

予想外に横島があっさりと自分の非を認めたことで、かおりは言葉が続かない

あれこれ言い訳する横島を問い詰めることで頭がいっぱいだったのだ


「あたしも一つ聞きたい。 なんでおキヌちゃんとしっかり話をしないんだ?」

言葉に詰まったかおりに続き、今度は魔理が横島に厳しい表情で問い詰める


「俺にも事情があるんだ。 悪いけど何も言えないよ」

横島は言葉少なく話すだけで、何も語ろうとはしない

そんな横島の姿に、かおりと魔理は再び怒りや苛立ちを感じていく


「お前なっ!」

苛立ちを抑えきれない魔理は、今にも横島につかみ掛かろうとする勢いである


「魔理さん、止めてつかさい! 横島さんには横島さんの人生があるんですジャー」

何も語らない横島と苛立つ魔理の間に入ったのはタイガーだった


「タイガー!!」

魔理は恐る恐る仲介するタイガーを睨み、引く気配は無い


「まあまあ、君達少し落ち着きたまえ」

一触即発のような空気の中、動いたのは唐巣だった


「君達がおキヌ君を心配する気持ちはわかるが、横島君の知人が集まるこの場所で言うことではないだろう。 魔鈴君、個室を貸して欲しいのだが…」

唐巣はかおりや魔理をなだめつつ、魔鈴に個室を貸して欲しいと頼んでいた


「はい、かまいませんが……」

「君達と雪之丞君とタイガー君は来なさい。 少し落ち着いて話をしよう」

魔鈴の返事を聞くと、お互い苛立つ四人を個室に連れて行く

かおりと魔理は少し不満そうだが、さすがに唐巣にそこまで言われると渋々従っていた


残された店内は再び静寂に包まれるが、重苦しい空気に誰も言葉を言えない


「みんなゴメンな」

横島はそんな空気の中、一言謝り店の奥に入ってしまう

残された者達で驚きが隠せないのは、事情を知らない銀一や小鳩や愛子達である


「魔鈴、あんた事情を知ってるんでしょ? この子達に説明しなさい」

横島の後を追おうとした魔鈴を呼び止めたのはエミだった


「えっ… しかし……」

突然そう言われた魔鈴だが、簡単に話せる内容ではないので困ってしまう


「いずれわかることよ。 横島が大切だから集めた友達なんでしょ? 真実を知るいい機会なワケ」

迷う魔鈴にエミは全て説明するように告げる

その言葉が、アシュタロス戦やそれ以後の横島に関わることだとエミは理解してるようであった


悩む魔鈴はちらりとタマモを見るが、彼女は静かに頷き横島の様子を見に行く


(説明するしか無いでしょうね)

勝手に話すことにためらいを隠せない魔鈴だが、不安や心配でいっぱいの銀一達の表情を見ると説明しない訳にはいかないと思う


「少し長くなりますから、食事をしながらゆっくり聞いて下さい」

空いた席に座った魔鈴はゆっくりと語り出す

横島の真実を…



同じ頃、唐巣はかおりと魔理の二人から事情を聞いていた

ここしばらくずっと悩み寂しそうなおキヌの様子

しばらく前から話す機会さえないと悩んでいたおキヌなど、二人の話はおキヌのことばかりである


「君達は美神君や横島君のことはどれだけ知ってるのかね?」

唐巣の問い掛けに答える二人だが、令子の話は美化され現実離れした話だかりだった

あまりに現実と違う令子の姿に唐巣は問題の根深さを悟る



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