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ファーストコンタクト

その日横島達は、シャオの家に泊まることにした


横島がアジトから食材を出して夕食を作り、シャオと食べている


「シャオ、これからのことなんだが… しばらく俺と旅をしないか?」

横島はシャオが落ち着いた頃を見計らって話し始めた


「……私が一緒では迷惑では無いですか?」

シャオは少し悩んで寂しそうに語る


「俺はあてのない旅をしている。 今まで山奥で暮らしてきたから、少し常識に疎いんだ。 シャオが居てくれた方が助かるよ」

横島は笑ってシャオに答える

それは自分の正体を隠す嘘と、シャオを連れて行く理由とで一石二鳥なのだ


「……はい、よろしくお願いします!」

シャオは一瞬間があったが、笑って返事をした

やはり、一人で生きていくのが不安や恐怖だったのだろう


「とりあえず、南に大きな街があるらしいから行くつもりだけどいいか?」

横島はこれから旅のパートナーになるシャオに、次の目的地の相談を始める


「アリアハンですね。 私も何回か行きましたけど、本当に大きな街ですよ」

シャオは横島が目指していた街を知っていたらしく、説明を始める


「そうか… アリアハンか~ 結構遠いんだろ?」

昨日横島が土偶羅に聞いた情報ではまだ1ヶ月はかかる距離だ


「はい、徒歩ではかなり遠いですが、家にある馬車を使えば、2週間もあれば着きますよ」

「馬車か~ そりゃ便利だな」

シャオの家には荷馬車と、それを引く馬が2頭いる

それは森の木を加工して家具を作る職人だった両親が、出来上がった家具を運ぶのに使っていたのだ


「はい、旅に出るなら、馬車を使って行きましょう。 馬達も置いていけませんし……」

旅に出れば馬の世話をする人が居なくなる

シャオは小さい頃から一緒に暮らしてきた馬達を、放っては行けなかった


「じゃあ決まりだな。 馬車でアリアハンに行こう」

「はい、私は旅の準備をしますね」


話が終わると、シャオは家の中を片付けたり、旅の支度を始める


「シャオ、行く時に家に結界を張るから、家中の荷物を整理する必要は無いぞ?」

横島はシャオが慌ただしく荷物を片付けたりしているのを見て、思い出したように言った


「そうなんですか?」

シャオは驚き首を傾げる


「ああ、居ない間にまた盗賊とか来てもダメだからな…」

横島の話にシャオは不思議そうにしながらも、最低限の荷物を纏めることにした



そして次の朝…


横島は早く起きて荷馬車の手入れを始める

馬車は丈夫で、白い布の屋根も付いているが、荷物を運ぶ馬車なので居住性は良く無い


「とりあえず、軽く強化しますか…」

横島は馬車を見て文珠を出して文字を込める

【結】【界】【防】【水】【風】


文字を込めた文珠を念じて馬車の周りに飛ばす

文珠は横島の意志で自由に操ることが可能なのだ


そして、霊力を込めた言霊を言う

「敵意あるものと…、雨や風を拒む結界となせ!」

横島の言霊と共に文珠が光輝き、魔法陣となる

そして一瞬で馬車には結界が張られた


「これでOKだな。 あまり強い結界じゃないが、盗賊相手なら十分だろ…」

横島は出来た結界を見て呟いた


それから、横島はシャオと朝食を食べて出発の時になる
 
 
シャオは出発前に両親の墓に手を合わせて祈っている

「お父さん、お母さん、行ってきます……」

寂しげだが、それでも前を向いた瞳で両親に祈るシャオ


そして、馬車に荷物を積んで、出発の準備が整う


シャオは馬車に乗り、自分の家を見つめている


横島は家とその敷地を確認すると、文珠を出して文字を込める

【結】【界】【隠】【永】【続】


文字を込めた文珠は家の周りに飛ばした

そして、普段は抑えている竜気を、少し高めて指先に集める


「我、竜神の一族小竜姫の名の下に、この地を隠し守る結界と成せ…」


横島は竜気を言霊に変えて、家を包む魔法陣を作り結界を張った

それは馬車に張った結界とは比べ物にならない強力な結界


馬車は横島の霊力の結界だが、家は小竜姫から受け継いだ竜気の結界を張ったのだ

竜神の聖なる結界なので、並の魔族でも見つけれないだろう

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